こんにちは
はにー(@honey_come0011)です。
前回紹介した、「ペリオドンタルメディシン(歯周医学)」
これは、「歯周病との関係する全身疾患についての学問」です。
近年、歯周病によって悪化したり、惹起するといわれている全身疾患が多数報告されています。
その中でも特に患者数が多く、歯周病との相互に影響しあっていると報告されているのが「糖尿病」です。
糖尿病とは、血中のブドウ糖濃度が慢性的に高濃度になる疾患です。
特に、生活習慣に大きく関与する2型糖尿病は、入院・通院あわせて診断されているだけで300万人以上である。また、予備軍も合わせると、2000万人ともいわれ、国民病の一つである。
糖尿病の怖さを一言で表すと、「血管をボロボロにする疾患」です。
よって、毛細血管の密集する臓器(網膜、腎臓、末梢神経など)から機能不全になってしまいます。
①空腹時血糖126mg/dL以上
②75グラム経口ブドウ糖負荷試験200mg/dL以上
③随時血糖値200mg/dL以上
④HbA1cの値が6,5%以上
①~③のうち少なくとも1つと④が同時に確認されたとき、糖尿病と診断されます。
特に最後のHbA1c(糖化ヘモグロビン)は、過去1~2か月間の血糖値を反映するといわれており、直前の食事などに影響されることなく非常に重要な測定値なのです。
話は、歯周病に戻ります。
歯周病は、歯と歯肉の溝(歯周ポケット)に生息する細菌感染症です。
歯周病に感染した患者は、歯周ポケットが深くなり、歯周ポケット内に潰瘍の状態になります。つまり、体内に続々と細菌が入ってくる状態になります。それは、血流にのって全身にまわに、様々な全身疾患につながることが報告されています。
歯周病は口の中だけの病気…と思われがちですが、実は全身に影響する慢性疾患なのです。慢性的な炎症を歯周ポケットの中で起こし続けているので、あまり痛いと感じることがありません。せいぜい違和感や冷たいものが染みる程度です。しかし、知らない間に炎症は広がり、歯を支える顎の骨が吸収し、歯が揺れてきたときにはもう遅い…といった患者さんが非常に多いのです。
「サイレントキラー」などと呼ぶ先生もいるくらいです。
歯周病を放置するとなぜ血糖値が上がるのか。
慢性的な炎症が生じているということは、歯肉が腫れ、そこから様々な炎症性サイトカインと呼ばれる物質が全身に流れます。さらに、歯周病原菌や彼らがもつ毒素も血中に流れ出し、全身に運ばれてしまいます。それらは、本来血糖値を調節してくれる(下げてくれる)はずのインスリンの機能を低下(インスリン抵抗性)させます。その結果、血糖値の上昇につながるのです。そのため、糖尿病治療が効果を得にくいということも考えられます。
またその逆も報告されています。
つまり糖尿病を放置すれば歯周病が進行するのです。
・糖尿病患者が口腔内が乾燥しやすいため
・高血糖により白血球などの免疫機能が低下し、歯周病原菌への抵抗力が下がる
・組織の修復力が下がる(特に血管の修復力が弱い)
・終末糖化産物(AGEs)が歯肉に蓄積し、歯周組織の機能が低下
などいくつかの理由から、糖尿病 ⇒ 歯周病への影響が考えられます。
要は、歯周病 ⇔ 糖尿病は、相互関係が成り立っているというのが、今の医科歯科界の見解なのです。
これは負の螺旋のように感じられますが、適切に対処すれば双方一緒に改善することが可能とも考えられます。
したがって、歯周病治療を継続して行えば、HbA1c数値の改善が認められるという報告も非常に多いです。また、食事制限も含めて糖尿病治療を行うことで歯周病の数値も改善していくと言われています。
あんまり難しくなってもダメなのでこの辺にしておきますが…
今日のまとめ
・歯周病と糖尿病は相互に影響しあっている。
・歯周病は、インスリンの機能を低下させ糖尿病を悪化させる。
・糖尿病は、細菌による歯周組織の破壊を加速させる。
・適切に治療すれば、双方改善することができる。
以上です。
私の担当する歯周病患者さんでも、治療が進むとともにHbA1cが改善してった方が何人かいらっしゃいます。歯科治療にかかわらず、全身臓器や機能の改善に貢献できるやりがいを感じることができた瞬間かもしれません。
「ペリオドンタルメディシン(歯周医学)」を広く国民に知ってもらいたいなと思うと同時に、歯科医師側も積極的に歯周病治療に取り組んでいくようになったらなと思います。実は、まだまだ歯周病治療は衛生士まかせと考えている歯科医師も多いのが現状だったりしますからね~。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。