はにかむブログ

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歯周病と循環器疾患の関係

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

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以前紹介した、「ペリオドンタルメディシン(歯周医学)」

これは、「歯周病との関係する全身疾患についての学問」です。

近年、歯周病によって悪化したり、惹起するといわれている全身疾患が多数報告されています。

 

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今日は、その中でも循環器疾患について紹介です。

循環器疾患の中でも特に命に関わるのが、心筋梗塞や脳梗塞といった重要臓器の血管が詰まる病態です。

 

狭心症や心筋梗塞

動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、塞がってしまい心筋に血液供給がなくなり死に至ることもある疾患です。

 

動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因ともいわれてきましたが、別の因子として歯周病原菌などの細菌感染が注目されてきました。

 

歯周病原菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の沈着物)ができ、血管の通りが悪くなります。さらにこのプラークが剥がれて、血の塊ができると、その場で血管が詰まったり、ほかの血管が細いところで詰まるのです。

 

脳梗塞

こちらも脳内血管のプラークが詰まったり、他の臓器から飛んできた血の塊やプラークが飛んで来て脳血管が詰まる疾患です。脳内は特に細く複雑な毛細血管が縦横無尽に走行しているため、血管が非常に詰まりやすいのです。血管が詰まると、命を失うこともありますが、場所によっては半身不随や寝たきり、発語障害、認知症の進行など介護が必要になる可能性も高く、家族への影響も大きくなる可能性が高いのです。

 

 

これまでの研究より、歯周病の患者さんはそうでない人と比較して、1.5~2.8倍も循環器系疾患を発症しやすいと言われています。

 

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循環器疾患の原因となるアテローム性動脈硬化(コレステロールなどの脂質が動脈内におかゆ状の沈着物を形成して生じる動脈硬化)の出現が、歯周病と関連することがわかってきました。さらに、近年の研究で、このアテローム動脈硬化が生じている部分から、歯周病原菌が検出されたとの報告もあります。

 

口腔内の歯周病部分から血管を通じて、全身に細菌が流れていると考えられています。

そう考えると痛くないからと言って歯周病の歯を放置するのは、命に関わるとも言えそうです。

 

さらに細菌だけではなさそうなのです。

歯周病で炎症が生じている歯肉では炎症性サイトカインと呼ばれる物質が産生されます。インターロイキンとか聞いたことないですか?IL-1, IL-6, TNF-α などの炎症性サイトカインが血流にのって心臓など各臓器に運ばれます。そこで、血管内皮細胞やアテローム性動脈硬化部の免疫系統が活性化され、心臓血管や脳血管の異常を引き起こすのではないかと考えられています。

 

さらに肝臓がその炎症性サイトカインの刺激を受けると「急性期たんぱく質(CRP)」を作り出し、全身に流出します。その作用で、アテローム性動脈硬化症の進行を促すのではないかと言われています。

 

以上より、血圧や中性脂肪・コレステロールが高い人は、血管疾患予防のためにも歯周病の予防や治療が、より重要になってくるといえそうです。

 

【まとめ】

1. 歯周病部分から、血流にのって全身に細菌や毒素がまわることがある

2. 歯周病患者は、1.5~2.8倍も循環器系疾患を発症しやすい

3.  基礎疾患がある人は、歯周病予防や治療がより重要

 

 

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