こんにちは
はにー(@honey_come0011)です。
「マイクロバイオーム」という言葉知っていますか?
現在、医学・細菌学のTOPICです。
科学の進歩とともに、ヒトと常在細菌の共生関係が明らかになりました。
さらに今日では、「ヒトと常在細菌を合わせて1つの生命体とみなす」という考え方が徐々に主流になってきています。全てのヒトに共通するヒト固有の菌種と、ヒトの生活環境やライフスタイルによって異なる菌種が選択されます。したがって、1人1人の細菌叢は全く異なるため、指紋と同様の多様性が常在細菌叢にも表れています。
こういった考え方を背景に、ヒトと細菌の相互関係までをも包含する「マイクロバイオーム」という概念が生まれてきました。
今日は、優しめ細菌学講座です。
「目次」
- バイオフィルムとは?
- マイクロフローラとは?
- マイクロバイオームとは?
- 健康とマイクロバイオームの関係
- ヒトと常在細菌は助け合っている
- マイクロバイオームの共生関係
- マイクロバイオームの異常が病気につながる
- マイクロバイオームを健康に保つには?
- 最後に
バイオフィルムとは?
プラークコントロールってよく歯ブラシのCMでも聞きますよね?磨き残しが数日続くとその部分で細菌が増殖し、プラーク(歯垢)が形成されます。プラークとは、歯の表面に付着した堆積物のことであり、まさにバイオフィルムです。
バイオフィルムとは、水分が存在するあらゆる物質の表面に付着し、膜状に形成される細菌の共同体を指します。もっとも身近なのは、排水溝や浴室の「ぬめり」ではないでしょうか?あれもまさにバイオフィルムです。99%を細菌が占めています。そう聞くと汚っ!!ってなりますよね。
マイクロフローラとは?
マイクロフローラとは、「常在細菌叢」という意味です。特定の環境に分布する細菌の全種類を指します。
口腔内を例にあげるなら、虫歯菌や歯周病原菌も口腔内に存在する常在細菌の一種です。しかし、マイクロフローラとは、口腔内に住むすべての細菌の種類、数、分布を指すと考えてください。これが、細菌叢という考え方です。
もちろん腸には腸特有のマイクロフローラ、皮膚にも皮膚特有のマイクロフローラが存在することになります。
ちなみに「叢」という漢字、私も学生の頃読めませんでした。
訓読みで「くさむら」「むらがる」、音読みで「ソウ」と読みます。
したがって「常在細菌叢」=「ジョウザイサイキンソウ」と読みます。
いかにも、ウジャウジャ細菌がひしめき合っているイメージが湧きませんか?
うまい表現だなと思います。
マイクロバイオームとは?
上記のマイクロフローラが細菌そのものを示す総称であるのに対して、ある特定の部位に存在するすべての細菌がヒトと関りをもち、お互いに作用しあうという概念が「マイクロバイオーム」です。
健康とマイクロバイオームの関係
ヒトの体内には、およそ100兆もの細菌が生息していると言われています。ヒトの細胞数が約60兆個であるため、それよりも多いわけです。体内に生息する多くの常在細菌は、食べ物の消化・吸収、栄養の合成や病気の予防などにも貢献しています。しかし、時には、その細菌たちによって病気となることもあります。
ヒトと常在細菌は助け合っている
ヒトと細菌は一緒に生活することで、利益を享受しあっています。ヒトは常在細菌に体温・水分・栄養を与える快適な居住環境を与えています。そんなつもりはないのですが....笑
一方、常在細菌はヒトの身体を健常に保つための生理機能をコントロールしています。彼らもまた、そんなつもりはないでしょうが....笑
これをシンバイオシス(symbiosis: 共生バランス維持)と呼びます。
つまりお互いに平衡状態を保つことが、私たちの健康維持に欠かせないわけです。
マイクロバイオームの共生関係
では、常在細菌たちは私たちにどんな利益をもたらしてくれているのでしょうか?
- 外来微生物からの感染防止
- 消化管の健康維持
- 代謝機能のコントロール
- 抗炎症作用
- 免疫機能の支援
- 抗酸化作用
などなど、重要な役割を果たすありがたい細菌が多く存在します。
マイクロバイオームの異常が病気につながる
当然逆にマイクロバイオームのバランスが崩れて、ディスバイオシス(dysbiosis: 共生バランス崩壊)となれば、ヒトは病気の発症につながります。
大腸炎や大腸がんなど消化器系疾患が有名ですが、最近の研究では動脈硬化、肥満、糖尿病や各種アレルギーも腸内マイクロバイオームの異常が関係しているのではと報告されています。
マイクロバイオームを健康に保つには?
当然我々は、この細菌たちと仲良く過ごすために、毎日の生活習慣に注意を払わないといけません。喫煙や過剰な飲酒は控えましょう。適度に運動・休憩・バランスのとれた食事、太陽を浴びるなども効果的です。
また最近、善玉菌を摂取することで、マイクロバイオームの健康維持をはかる方法が盛んに研究・製品化されています。一番身近なものは、ヨーグルトなどの乳製品摂取です。このような目的の食品を「プロバイオティクス(probiotics)」といい、徐々に製品化されている現状です。一方で、詐欺まがいの怪しげな製品も多数存在しているため、まだまだ市場としては確立されていない、雑多な様相を呈しています。
最後に
さらに、「大腸炎や難治性下痢の患者の腸内に、健康な人の糞便を入れる方法で劇的に改善する」といった研究報告もなされています。想像すると少し気持ち悪いですが、欧米ではかなり普及している治療法です。腸内細菌叢を健康な人のそれに近づけようとしているのですね。
当然、今後の市場拡大と巨額のマネーの臭いがプンプンしています。藁にもすがる思いの患者さんはたくさんいます。大学・研究者・製薬会社・ベンチャー企業など多くの企業・団体が、むらがっていることは間違いなく、その中には怪しげな製品もたくさん出回っているわけですね。
とりわけ、マイクロバイオームをめぐる「常在人間叢」を呈しています。
ヒトも細菌と似たようなものですね。笑
まだまだ今後の研究報告が楽しみな世界です。
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