はにかむブログ

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歯周病は口の中だけの問題じゃないの?

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

歯周病がどんな病気か何となく知っていますか?

歯周病菌は、ほぼすべての人がもっている口腔内に細菌(常在細菌)によっておこる感染症です。

歯周病が進行する人と平気な人がいる理由は、

 

・歯ブラシ習慣が徹底されているか?

・定期的な歯科検診(メインテナンス)に通院できているか?

・基礎疾患があるか?

・歯ぎしり食いしばりをしているか?

・喫煙しているか?

・歯周病原菌に対する感受性の差異

 

など様々な原因が考えられますが、最近は「細菌と免疫力とのバランスが崩れた時に歯周病は進行する」という考えが主流になってきています。

 

成人の8割が感染しているともいわれる歯周病。

虫歯の患者さんは減少傾向ですが、歯周病の患者さんは年々増加傾向なんです。

歯を失う原因の、実に42%が歯周病ともいわれています。

(ちなみに虫歯で歯を失う原因は、32%ほど)

 

そんな歯周病ですが、口の中だけの問題だと思っていませんか?

答えは “NO” です!

実は全身に悪影響を及ぼしていると、ここ20年くらいで次々に論文・症例発表されています。

 

今日はそんな歯周病と全身疾患のお話です。

 

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     【目次】

・ペリオドンタルメディシンとは?

・歯周病と関連する全身疾患とは?

・医科も注目する歯周病

・今後の歯科医療の役割

・最後に

 

・ペリオドンタルメディシンとは?

「歯周病が全身疾患を引き起こす?」そんなタイトルのTV番組もだいぶ増えてきて聞いたこともあるかもしれません。いまこの歯周病と全身疾患の関連性について、非常に注目されています。

この分野を追求する学問を「ペリオドンタルメディシン(歯周医学)」と呼びます。

すでに、歯科医や衛生士を目指す学生や実習生などは、教科書でこれを何度も勉強させられます。国家試験にも頻出の分野なのです。

 

・歯周病と関連する全身疾患とは?

実際に、歯周病と関連すると報告されている疾患は以下のものです。

・糖尿病

・肥満

・血管病変(脳梗塞、心疾患など)

・骨粗鬆症

・早産・低体重児出産

・誤嚥性肺炎

・関節リウマチ

・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

・慢性腎臓病(CKD)

これらは、教科書にも載るレベルで論文報告もされています。

特に最初の糖尿病と歯周病の関係は、かなり重要でお互いに悪影響を与えているのではないか?(相互関係)と指摘されています。

 

また最近、「アルツハイマー型認知症にも関与しているのではないか」とYahooニュースやTVでも取り上げられ話題になりました。

 

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・医科も注目する歯周病

ペリオドンタルメディシン(歯周医学)は今まさに医療業界全体の中でもTOPICです。

普段、虫歯を削っては詰めて、抜いては入れ歯を入れて.....という作業ばかりやっている一般歯科に対して、あまり医科の人間は興味を示すことはありません。

 

しかし、全身疾患に影響を与えるとなれば、歯科を無視するわけにもいきません。

歯周病菌や最近由来の毒素が全身に回ることで、悪影響を及ぼすのであれば、医者は何としてでもその患者さんを定期的に歯科医院に通院させようとするでしょう。

 

そういった理由で、「基礎疾患のある患者さんや手術前の患者さんの口腔管理をお願いします。」と紹介されることが非常に多くなってきました。特に内科や循環器科からの紹介が多いです。

 

まだ研究が始まって歴史の浅いペリオドンタルメディシン(歯周医学)ですが、今後さらに研究が進み、医科ー歯科連携が密になることが予想されます。

 

・今後の歯科医療の役割

ペリオドンタルメディシン(歯周医学)にあげられる全身疾患には、いわゆる生活習慣病が非常に多いです。日本政府はいま、生活習慣病での死亡率を下げよう、予防しようと必死です。「健康寿命の延伸」「壮年期死亡の減少」などを目標に掲げ、「健康日本21」という政策も打ち出しています。

 

高齢者がますます増える日本では、訪問診療の必要件数が今後伸びていきます。

多くの高齢者の口腔内をチェックする歯科医師や歯科衛生士の需要はさらに膨らむでしょう。そこにどうアプローチしていくのかがポイントです。

 

歯科界はいま、超高齢化社会の日本国民に対して、お口の問題を通して全身疾患と向き合わなければならない時代に来ています。

 

・最後に

毎日の診療現場で、歯周病患者さんと向き合っていると実際に血糖値が下がってきた、なんていう方もちらほら見かけます。もちろん歯周病治療だけが功を奏したわけではないでしょう。食事制限や薬剤によるものもあると思います。しかし、患者自身が、「歯周病は全身に影響を与える」と理解すると、結果的にブラッシングの本気度も変わります。特に基礎疾患がある患者さんは、丁寧に磨いてくれるようになります。

 

そりゃー、「心筋梗塞起こすかも?」「早産になっちゃうかも?」

なんて言われたら、心疾患患者さんや妊婦さんもちゃんと歯磨きしようって思いますもんね。脅すわけではありませんが……笑

 

そういった、患者さんのモチベーションアップにも、私はペリオドンタルメディシン(歯周医学)を利用させてもらっています。

 

今後のさらなる真相究明に期待が寄せられている学問なのです。

 

 

www.honey-come.info

 

 

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