はにかむブログ

歯医者がみんなの疑問にふんわり答えたり、写真撮ったり、雑記したりのブログ

北欧が予防歯科先進国ってホント?

こんにちは

はにー@honey_come0011です。

 

今日のテーマは北欧と日本の歯科事情です。

一般的にあまり知られていませんが、歯科の世界では、北欧(特にスウェーデン)は予防歯科先進国として非常に有名です。

 

40~50年ほど前の北欧諸国は、虫歯の数や歯の喪失率など当時の日本以上に酷かったことが過去のデータからもわかります。それが国の方針の違いにより、日本が大きく遅れをとっている現状です。北欧では、「虫歯がないのが当たり前」と言っても過言ではない地域も多いです。

 

何がそこまで大きな差をつけたのでしょうか?

各国の虫歯対策と国民の意識について一緒に考えていきましょう!

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フィンランド

40年前のフィンランドでは子供の虫歯が1人平均約7本もありました。

当時、日本では1人平均約5本ほどです。

その子供たちに対して歯科治療を保険で賄うとなると莫大なコストがかかります。予防処置に費用を回す方がよっぽどコストが抑えられると判断したフィンランド行政は、歯科医師数を増やし、国民に予防の重要性を喚起していきました。虫歯は感染症であること、フッ素やキシリトールの利用で防げる疾患であること、親子で一緒に定期健診へ通院させることなどを説明し実施しました。また、妊娠初期の妊婦に対しては、出産を迎えるにあたり、子供への虫歯菌感染を防ぐための再教育も政府主導で行いました。

歯科衛生士数を大きく増やし、歯の定期健診を国民が当たり前に行く社会へと変えていきました。現在、フィンランド人の90%ほどが歯のメンテナンスに定期的に通っています。

 

その結果、フィンランドの1人平均虫歯数は1.2本まで減少しました。

日本人の約3分の1です。

 

政府の保険適応や政策一つでここまで大きな差がつくのです。

特にフィンランドのムラメ市では、子供10人に対し虫歯があるのは1人という状況です。もはや虫歯がないのが当たり前の地域も出てきています。

 

現在フィンランドでは、「歯は治療するものではなく、予防するものだ」という意識が根付き、歯科医師の半数が公務員です。そのため、なかなかすぐに予約が取れないというデメリットもあったりします。

 スウェーデン

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少し古いデータですが、各国の残存歯数や定期健診への意識の違いです。

現在日本の80歳の残存歯数は13本ほどに増加、定期健診通院率も10%ほどに増加していると言われていますが、それでも大きく遅れています。

スウェーデンがなぜここまで歯科先進国として君臨しているのでしょうか?

必要最低限の治療で歯の寿命を延ばす

日本は小さな虫歯があればすぐに削り詰め物をする傾向があります。間違いではありませんが、スウェーデンでは、徹底したブラッシングでコントロールできる虫歯であればそのまま経過観察とすることもあります。

詰め物、被せ物などの処置をした歯は、再度虫歯ができやすくなります。その結果、歯の寿命を縮めてしまうくらいであれば、治療を最小限でとどめておくのも1つの考え方だと思います。

北欧の人種は体格も歯の大きさも非常に大きいため、そう簡単に歯がダメにならないという人種的な違いも大きいとは思いますが....笑

予防重視で歯の健康維持

フィンランドと同様、1970年初期のスウェーデンでは虫歯に悩む子供が多く、日本以上に状況は悪いものでした。

しかし、1970年代から歯科医療改革を行い、状況は一変します。それまでは、今の日本と同様「歯が悪くなってから治療する」というスタイルでしたが、「予防重視」の治療スタイルへと転換しました。その結果、虫歯と歯周病を大幅に現状させることに成功しました。

スウェーデン・イェテボリ大学のヤン・リンデ名誉教授は、歯科の世界では非常に有名です。現在は歯周病学の世界的な権威でもあります。日本の歯科医療の発展にも多大な貢献をしていることは間違いないです。よく日本にも来日口演されているので、たぶん親日家です 笑

プラークコントロールがカギ

さぞかしスウェーデン人は歯ブラシばかりしているのだろうなと思いがちですが、ブラッシングの回数や時間は日本人のほうが多いという調査結果もあります。

したがってこの虫歯率の差は、やはり歯科の定期健診受診率が大きく影響しています。

スウェーデンでは80%以上、それに対し日本では10%未満ともいわれています。

先手を打って普段から歯科医院に通う方がコスパもいいのですが、まだまだ日本では「問題が起こってから駆け込むところ」というイメージが強いのです。

セルフケアが第一、定期歯科受診で補完

どれだけ頑張っても、歯と歯の間や、奥歯の後ろなど自分では磨き切れない部分が残ります。歯科医師が自分の歯を磨いても100%全面磨くことはできません。

その磨き残しを補完するためにも、定期的なメンテナンスが重要になってくるのです。

予防のプロフェッショナルである、歯科衛生士さんが、磨き残し部分を指摘し、磨き方や患者さんにあった歯ブラシ・歯間ブラシを指導してくれます。

その際、小さな虫歯が見つかればすぐに歯科医師のチェックを受けることもできます。

 

さらに子供は親と一緒に歯科医院に通うことが義務化されているため、歯医者の敷居が高くないです。あまり歯科医院に対し怖いというイメージもないそうです。素晴らしいことです。

 

いい話ばかりしてきましたが、治療においてはデメリットもあります。

痛いからと電話しても予約が1ヶ月先なんてよくあります。

実際行って治療風景も見学しましたが、日本ほど歯科医院は多くないです。

先生によっては治療も結構荒いです。笑

北欧の人は痛みに強いですので、日本人であればクレームがでそうな荒治療も結構平気そうです。もちろんそんな先生ばかりではないでしょうが、「やっぱり日本人って器用で繊細だなー」と改めてそう思います。

さらに先ほども言いましたが、北欧の人間はそもそも歯が大きく、顎の骨も頑丈です。ちょっとやそっとの歯周病では揺れてきません。ちょっと人種的劣等感に苛まれます。笑

日本

治療においては、世界最先端の分野も多く、海外から日本に歯科技術を学びに来られることもあるくらいです。何より日本人は手先が器用で勤勉です。

おそらく治療技術では、日本はトップレベルとも思えます。

まあ、歯科医師にもピンからキリまでいろな先生がいますが....笑

 

日本の歯科界も予防の重要性に気づき、歯の定期メンテナンスを率先して行う医院も増加しています。まだまだ、北欧諸国には及びませんが、徐々に日本の歯科も予防に力を入れるようシフトしてきています。
2020年4月から、診療報酬改定で「歯周病重症化予防治療」「長期間管理加算」が新設されました。さらに歯科衛生士さんが大きく関わる歯の掃除である「スケーリング」「機械的歯面清掃」の点数がアップしました。


これらは、日本の歯科が予防に重点を置いていることがようやく、保険点数にも表れてきた結果です。今後、日本が予防歯科先進国に仲間入りするための、第一歩だとも思います。

 

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