はにかむブログ

歯医者がみんなの疑問にふんわり答えたり、写真撮ったり、雑記したりのブログ

「歯の定期健診で新型コロナ感染予防を!」という広告について

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

新型コロナウイルス感染症の第2波が心配される中、徐々に街に人が増えてきて、活気が戻ってきてます。

駅と商店街は、結構人でごった返しています。

 

歯科治療にも人が戻ってきて、徐々に院内の人口密度が上がってきました。

なるべく受付の密度が上がらないよう注意していますが、個人経営の医院では限界があるのも事実です。換気と消毒で、最大限注意するしかないですよね。

 

f:id:honey-dental:20200530191742p:plain

 

そんななか歯科通院に戻ってきてもらおうと、新型コロナウイルス感染症を利用した広告がたびたび見受けられます。

「歯の定期健診で新型コロナ感染予防を!」「新型コロナを歯の掃除で撃退!」といった謳い文句です。

ピンチをチャンスに変えていこうという医院の意気込みは感じられますが........

ちょっと無理があると思います。笑

 

歯の定期健診とは、主に歯科衛生士さんが行う、30分から1時間ほどの検査、歯石とり・歯面研磨・フッ素塗布などを指します。そこで虫歯や歯周病の兆候が認められたら、再び治療スタートになります。

日本では今も「歯医者は歯が痛いときだけ行く」という考えの方が非常に多いですが、世界的には「歯医者は普段から定期的に行く」が主流になっています。

www.honey-come.info

 

歯医者の定期健診で主に予防する感染症は、虫歯と歯周病です。

どちらも普段から私たちの口の中に暮らしている常在菌です。

そして細菌です!

決して完全に除去することはできません。なのでうまいこと一緒に仲良く暮らしていかなければいけません。プラークや歯石を除去する、あるいはブラッシングをサポートすることで虫歯や歯周病の発生・進行を抑えることができます。

 

一方で新型コロナウイルスは、普段我々の身体で暮らしている病原体ではありません。

そして細菌ではなくウイルスです!

感染者が近くにいれば、どれだけ歯ブラシや定期健診に通っていても感染・発症します。感染者からの飛沫や接触が感染経路ですので、ブラッシングなどで予防できるものではありません。

 

もちろん、ブラッシングや定期健診を十分に継続している患者さんは、肺炎を起こしにくいという論文や症例は多数報告されています。しかしそれら肺炎は、主に口腔内常在菌による誤嚥性肺炎の予防が主です。

 

インフルエンザや新型コロナウイルスなどといった、飛沫・エアロゾルによる呼吸器感染症とは別物と考えていいでしょう。これらは、そもそも口腔内にも、体内に常在している病原体ではないからです。

 

「常在菌による誤嚥性肺炎」と「呼吸器感染症による肺炎」とをあたかも同じ「肺炎」として広告してしまうのは、語弊があります。

本気で広告しているのなら、感染症に対する無知です。

結果、その歯科医院は不安を煽った商売主義になり下がっています。

 

世の中には、あの手この手の様々な広告やHPが存在します。

そういったものに振り回されないよう正しい知識をつけて、このコロナ禍を冷静に乗り切りましょう。

 

↓また応援クリックお願いします。

にほんブログ村 健康ブログへ

 

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info

 

下水調査で新型コロナの流行予測

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

来月からいよいよ学生や研修医が返ってきそうです。

にぎやかになる反面、3密にもなることも必死です。笑

患者さんからもいよいよ通院希望の電話がかかってくるようになりました。

さすがに、歯が痛いのを何か月も待てないですもんね。

ここ2ヶ月ほど我慢していた患者さんが、ドッと押し寄せてるイメージです。

f:id:honey-dental:20200519222700j:plain

下水中から新型コロナウイルスが検出できるだろうという話は以前からありました。

そして、いよいよ各国で「感染状況を把握するうえで、下水疫学調査が有用である」とする論文が報告されています。

「誰が感染しているか」を特定するには至りませんが、地域全体の流行状況を毎日の糞便からいち早く察知することができます。

場合によっては、その下水中のウイルス濃度から、注意喚起や自粛レベルを引き上げたりするなどの政策へ結びつけることもできるかもしれません。

 

特定地域の下水疫学調査では、新型コロナウイルスの侵入や流行状況、分子疫学および流行収束の判断材料として利用できると考えられる。

 

また、新型コロナウイルスは不顕性感染(症状はでないが感染している状態)を引き起こすことが知られており、主に発症者のみを対象とする現在の臨床検査では真の流行状況を把握することが困難です。

一方でこの下水調査では、感染者の症状の有無に影響を受けず感染流行状況を評価することができるため、これまでの検査方法とは一線を画すものとなるでしょう。

 

そうなると下水から発生する飛沫やエアロゾルによる感染は大丈夫なのか?と疑問になってきます。

また下水から発生するバイオエアロゾルからの感染はあるのかどうか....こちらはまだ報告がなく今後の報告が待たれるところです。

下水処理場で業務にあたっておられる方は、しばらく戦々恐々とされているのかと思います。インフラを止めずに支えてくださっている方には、本当に感謝ですよね。

 

 

ちなみに日本は、全世帯の上水供給率はほぼ100%に近い状態です。

しかし他の先進国と比較すると、下水設備の供給率がいまだに低いそうです。つまり糞便をそのまま川や海に放流している地域も少なくないとのことです。

したがって、下水のリアルタイムのチェックを行う上で、他国と比べるとノウハウも乏しく、少し不利なのかもしれません。

あらためて、下水施設などの見直しも必要かもしれませんね。

 

↓また応援クリックお願いします。

にほんブログ村 健康ブログへ

 

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info

 

感染症と差別

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

手洗いうがい頑張ってますか?

最近アルコール消毒しすぎて、夏場にもかかわらず手がカサカサ気味です。

だんだん暑くて、半袖になっているのですが、まわりに「半袖ははやくない?」と散々突っ込まれ長袖に戻しました。笑

毎年衣替えのタイミングがホントに苦手です。

f:id:honey-dental:20200527213335j:plain

新型コロナウイルスの猛威が少し落ち着いてきているように感じます。

それに伴い、誹謗中傷や差別も少し緩和されていくといいですね。

 

病原性微生物が原因と分かっていても、普段は目に見えない病。

ストレスや怒りの矛先を、ぶつけないと気のすまない人は一定数存在する。

他府県ナンバーの車を攻撃してみたり、SNS上で誹謗中傷を繰り返してみたり....そんなことしているのはホントにわずかなヒトにも関わらず、ワイドショーや週刊誌でとりあげさらに過熱する。

感染したら最後、地域で特定され、さらし者にされる。

感染症ウイルスよりも自制心のない人間のほうが怖い。醜い。

 

日本の危機意識、公衆衛生管理、チームワーク褒められてもいいところがたくさんあるはずなのに何かネガティブな側面が多すぎる。

ネガティブな面ばかりを取り上げているから?

本当に反省するのが好きな国です。

それがいいことでもあるのですが。

緊急事態宣言解除で喜びたいが、なんとも後味の悪い終わり方です。

 

 

感染症と差別でよく引き合いに出されるのが、AIDS(エイズ)とハンセン病です。

 

AIDS(エイズ)

HIVとは、エイズを引き起こすウイルスのことです。

HIV:Human Immunodeficiency Virus

   ヒト免疫不全ウイルス

AIDS:Acquired Immune Deficiency Syndrome

   後天性免疫不全症候群

HIV/AIDSは、1981年に世界で初めて症例報告されて以来、世界中に広がり、2018年時点で約3790万人が感染していると推測されます。

まだまだ発見されてまもない感染症なんですね。

日本でもHIV感染者は、徐々に増加しており、2012年の新規感染者・患者の報告数は約1500人ほどに上っています。

性感染症の一つであり、不用意な性行為による性的感染、輸血や針の回し打ちなどによる血液感染、母子感染など血液由来の感染が主である。

発見当初は、ゲイや麻薬常習者などに比較的多かったこともあり、激しい差別の対象となった。現在でもHIV感染であることを理由に不当に解雇されたりという被害もあるそうです。

通常の生活では、まず感染するリスクもないという正しい知識が周知されるべきである。

 

ハンセン病

「らい菌」による感染症で、1878年ノルウェー医師、アルマウェル・ハンセンの名前に由来します。らい病の呼び名は、差別的ともとらえられるため、最近はもっぱら「ハンセン病」と呼ばれます。

古くは、日本書紀や今昔物語集にも「らい」の記述があるほど、古くから知られている

現在日本での新規感染者はほぼ0人であり、極めて稀になっている。

また万が一感染したとしても治療法も確立しており、後遺症を残すことはまずない。

主に呼吸器系からの感染であり、十分な治療が受けられなかった時代は、皮膚に重度の病変が生じ、その見た目も相まって社会的な差別の的になった。

日本では、「らい予防法」という法律が患者の反対を押し切って施行され、一層の差別と偏見が助長したともいわれています。1996年にこの「らい予防法」は廃止され、各自治体と患者との訴訟や補償についても進んでいます。患者の高齢化もあり、あまり最近は話題になりませんが、我が国の感染症と差別の歴史として、根深く残っています。

 

世界中が感染症との戦い方・向き合い方を学びました。

それとともに、自制心や正しい情報収集なども身につくと、この「コロナ禍」で得るものも多かったと言えるのではないでしょうか?

 

↓また応援クリックお願いします。

にほんブログ村 健康ブログへ

 

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info

 

 

歯科の細菌検査って意味あるの?

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

「ヒトと細菌の相互作用」=「マイクロバイオーム」についてお話ししました。

www.honey-come.info

www.honey-come.info

 

細菌と聞くとどうしても人間に悪さする「病原性」をもった微生物ばかりをイメージしがちですが、実は世の中の99%の細菌は普段ヒトに影響しません。そして中には、私たちの消化・吸収を手助けしたり、私たちが合成できないビタミンを作ってくれたりと有益な細菌もいるのです。

 

ただし中には、人間に悪影響を及ぼす細菌もいるのも事実です。

歯科の世界では、虫歯菌と歯周病菌が特にターゲットとなります。

そんな細菌を検査で見つけること、または除去することを目的にした治療法も数多く研究されています。

どれほどの意味と効果があるのでしょうか?

今日は細菌検査について考えていきます。

f:id:honey-dental:20200521220251j:plain

         目次

  1. 細菌検査とは?

  2. プラークや唾液を採取して顕微鏡で覗く細菌検査
  3. 虫歯治療中の細菌検査

  4. 根管治療中の細菌検査

  5. 歯周病治療中の細菌検査

  6. 常在細菌との共生バランスを見極めることが重要

  7. 最後に

 

細菌検査とは?

医科・歯科ともに細菌検査というものを行います。

組織や代謝物・排泄物を一部採取し、数日~1週間培養して細菌を同定する方法です。

血液を採取し、血中抗体をチェックする場合もあります。

またPCR検査を行い、特定の細菌が存在するか遺伝子検査する方法も主流です。

 

歯医者さんでも細菌検査を行う医院があります。

ただし、ほとんどの歯科医院では、行っていません。

一般的に「削って詰めて」を繰り返す通常の歯科医院にとって、細菌検査自体にあまり効果が見いだせないからです。ほとんどの細菌検査は、結果が分かるまで数日~1週間かかります。その検査結果を待つ時間があれば、次の治療に進めていきたいと考えるのが普通の歯医者さんです。

収益としてもその方が上がります。

 

また虫歯の細菌、歯周病の細菌も決して1種類ではありません。

どちらも分かっているだけで数十種類以上存在します。

それらを全て特定することは、一般の開業医では不可能に近いです。

 

特に毒性の強い細菌のみを特定できたとして、それだけを叩く特効薬があるわけでもありません。抗生剤を飲めば、一時的に減少するかもしれませんが、他の善玉菌(本来身体を防御してくれるはずの細菌)まで減少してしまいます。

 

細菌検査しても、その結果に応じて一般開業医でできる対策には限度があるのです。

しいて言えば、

「患者さんにリスクの高さを伝えることができる」

「それに応じて、定期的なメンテナンスを頻繁に来てもらうようにする」

くらいでしょうか。

 

定期的なメンテナンスを行っていない歯科医院もまだ多く存在します。

そうなってくるといよいよ細菌検査をする意義が見えなくなってきます。

そうした背景があるため歯科治療での細菌検査がなかなか流行らないのです。

 

プラークや唾液を採取して顕微鏡で覗く細菌検査

最近開業される先生は、この「位相差顕微鏡」を導入している方も多いです。

患者さんのプラーク(歯垢)や唾液を採取して、顕微鏡で覗くだけです。

当然その中には、多くの細菌がウジャウジャ動いています。

それを患者さんに直接見せることで、「こんなに多くの細菌がいますよ~」と説明し、今後の歯科健診につなげるのが狙いです。

さらに、数か月歯の掃除や治療を繰り返したところで、再度顕微鏡像を見せ、「前回より細菌が少ないですね、菌の活動量も落ちてるように感じます~」と説明すれば、効果を実感させることができます。

 

プラークの実態を説明し、プラークコントロールのモチベーションをアップさせるには、効果的です。自分のプラークの顕微鏡像なんて誰も見たことないため、インパクトがあります。そのインパクトを今後の歯科治療やブラッシングにつなげるという意味では意義があります。

 

ただし、これは細菌検査ではありません。

そもそも虫歯菌なのか?歯周病菌なのか?全く特定できる代物ではないからです。

当然、どんな人でも口腔内には100億以上の細菌が常在していることは前回お話しした通りです。虫歯だらけの人も、虫歯0の人も、誰のプラークだって採取してきたら顕微鏡内ではウジャウジャ動いているのです。

さらに治療後のプラークを見せるときは、細菌量が少なめの部分を見せてしまえば、あたかも改善しているようにみえます。顕微鏡画像なんて動かしてしまえば、いろんな像が見えてくるのですから。

 

以上より、位相差顕微鏡でプラークや唾液内の細菌を患者さんに見せる、という行為は、まだまだ議論の余地があり、特に細菌学に精通している歯科医師ほど反対意見が多いように感じます。

少なくともこれは細菌を特定する作業ではないため、「細菌検査」ではないと考えています。

しいて言えば、「患者さんのモチベーションアップ作業としては、有効なのかな?」と思います。

 

虫歯治療中の細菌検査

歯の象牙質までの虫歯の穴(う窩)が存在したら、基本的には虫歯部分を削って詰めます(修復処置)。もちろんう窩の中には、う蝕関連細菌が多数存在するでしょうが、それをわざわざ細菌検査にかける歯科医師はどこにも存在しません。

しいて挙げるなら、大学などの研究機関くらいでしょうか?

厳密には、細菌が完全にいなくなったことを確認してからの修復処置が、理想的ですが時間やコストの問題もあります。

 

現在、ほぼすべての歯科医師は、虫歯部分の「色調変化」と「硬さの変化」を頼りにどこまで削ればよいか手探りで治療しているのが現状です。「う蝕検知液」を使用している先生もいますが、これも決して完璧とは言えません。

ただでさえ、細かい作業がつづく歯科医療。

ましてや細菌なんてちょっとやそっとの拡大では目に見えません。

実は虫歯治療は、ほぼ経験と勘の世界なのです。

 

根管治療中の細菌検査

虫歯がさらに大きくなると歯の神経まで細菌が到達します。

多くの人はここで、痛みを伴い歯科医院に駆け込んできます。

この時、「歯の神経の治療をしましょう」などと説明されることが多いでしょう。

これを根管治療と呼びます。

長く伸びる歯根の中を消毒、洗浄するにはさらに高度な技術が必要になります。

この根管治療中に細菌検査をされる先生が時々います。

 

  • 根管内の細菌がまだ多く存在するなら消毒を継続。
  • 根管内の細菌が一定以下に減少したら最終的な材料で密閉する。

 

この判断ができます。

こちらもほとんどの歯科医院では行っていませんが、「細菌簡易培養検査」、通称「S培」という形で保険診療では認められています。

なかなか流行らない理由は、

  • 検査するたびに細菌を培養するため数日~1週間またないといけない。
  • さらに1本の歯につき1度しか算定できないこと。
  • 根管治療に関わりのある嫌気性菌(酸素が苦手な細菌)があまり検出できないこと

などもあり、反対派の意見が根強いです。

 

50年も前の話ですが、アメリカの研究論文でも「根管治療中の細菌検査は無意味である」と報告されるなどしてさらに歯科界の議論は加熱、現在ではほとんどの歯科医師が行っていない状態です。

 

歯周病治療中の細菌検査

歯周病治療に対する検査、これについては歯周病専門とうたっている医院では、徐々に広がりつつあります。

ただし菌を採取して自分で培養する先生はほとんどいません。

患者さんの口からプラークを採取し、検査会社に外注します。1週間以内で検査結果がでます。

歯周病菌も種類が非常に多く、すべてを把握することは困難です。

しかし「レッドコンプレックス」と呼ばれる危険性の高い3種類だけを検出する検査セットなどが製品化されています。それにより患者の歯周病リスクを判定することができます。だいたい1回5000~10000円ほどするため、基本的に自費診療です。これがまず歯周病細菌検査の普及に対するネックです。

 

では、「その細菌検査が陽性である」あるいは「特定の歯周病菌が多く検出された」と分かったところで何が歯科医師にできるのでしょうか?ここがやはり問題です。危険性の高い菌種を特定できても、それに対する明確な対策がなければ、意味がありません。

 

先生の中には、その細菌にも効果があると抗生剤を処方する方もいます。

私はこれには反対です!

そもそも歯周病菌も「口腔内の常在細菌叢」の1種です。

他の多くの菌と同様、「口腔マイクロバイオーム」を構成しています。

抗生剤を服用すれば一時的に歯周病菌が減るでしょうが、服用後1ヶ月もしたら元に戻るのは必至です。0にすることはできません。

さらに、もっと問題なのはせっかく口腔内で構成されていた他の常在細菌叢が崩壊してしまします。それらは、我々の身体を他の微生物から防衛していた可能性もあるのです。

当然、腸内マイクロバイオームも乱れます。

長期間続けば、抗生剤の効きにくい耐性菌が発生する可能性もあります。

 

抗生剤は、急性症状がない限り服用しないに越したことはないのです。

今、日本で処方されている抗生剤の半分は不必要である」と主張する先生がいます。

私は歯科医師になってまだ数年ですが様々な医師や医療現場をみてきて、それが理解できるようになってきました。

不用意な処方は避けるようにしています。

 

患者さんにもこれだけは知ってもらいたいです。

すぐにお薬を出してくれる医師が、必ずしも良い医師ではない!」ということです。

 

常在細菌との共生バランスを見極めることが重要

以上より、特定の細菌を見つけ出してその後、何ができるのかというところが問題なのです。現在の医療技術や抗生剤では、見つけ出した特定の1種類だけを叩くことはできないのです。抗生剤を服用しても細菌との共生バランスが崩壊する(ディスバイオシス)だけです。下手をすると、そこから虫歯菌や歯周病菌が優勢に立つ可能性もあります。

 

何度も言うように虫歯菌や歯周病菌は、誰もが口腔内に持つ常在菌です。

ヒトは、いかに常在細菌とうまく共存バランスを維持(シンバイオシス)するかを考えていかなければいけません。虫歯菌や歯周病菌が優位にならないよう、他の多くの細菌と共にシンバイオシスをキープすることが課題となります。

これが達成できれば、虫歯や歯周病は生じないはずです。

そのためにも我々歯科医師は、無意味な細菌検査や抗生剤処方を控え、

  • 共生バランス崩壊(ディスバイオシス)の早期発見と早期治療介入
  • 共生バランス維持(シンバイオシス)のためのブラッシング指導やメンテナンス

を意識することが重要です。

つまり今後の歯科医師の「口腔内細菌との向き合い方」なのかなと思います。

 

 最後に

すこし難しい話でしたがいかがでしたか?

細菌検査が決して無駄という訳ではありません。

「細菌という眼に見えない敵との戦いがどれだけ困難か」の裏返しとも言えます。

そして現在行われている大部分の細菌検査は、治療の根本的解決(原因療法)には繋がっていないのが現状です。さらなる医療技術や医師自身の情報収集が期待されます。

 

↓応援クリックお願いします。

にほんブログ村 健康ブログへ

 

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info

口腔内のマイクロバイオーム

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

前回に引き続き今日もヒトと細菌のお話です。

「ヒトと細菌は一心同体」共生関係にあるという話は、皆さんご存じかと思います。

細菌自体の研究のみならず、現在ヒトと常在細菌との相互作用までをも包括した「マイクロバイオーム」という考え方が徐々に浸透しています。

www.honey-come.info

 

そして今回は、口腔内の常在細菌とヒトの健康について考えていこうと思います。

f:id:honey-dental:20200521220251j:plain

       目次

  1. 口腔内のマイクロバイオーム
  2. お口は細菌のベッドルーム
  3. 虫歯菌や歯周病菌はよそ者?
  4. 近親者ほどマイクロバイオームも類似する
  5. 虫歯や歯周病の予防接種は必要か?
  6. 最後に

 

口腔内のマイクロバイオーム

口腔内には1000種以上の細菌が常在していることが分かっています。単純に細菌数だけなら約100億個ともいわれており、腸内の次に多いとされています。

一人のお口の中の細菌は、世界中の人口よりずっと多いのです!

その内の約半数は、優勢状態(ヒトの口ならありふれた存在)にあり、皮膚マイクロバイオームの3倍ともいわれています。

 

それらの中で、細菌学者によって分類・命名されているのはせいぜい24%ほどです。

口の中の細菌だけでも、まだまだ未知の世界が広がっていそうです。

 

お口は細菌のベッドルーム

なぜ口腔内はそこまで細菌が多いのか。

それは、口腔内が適度に温かく湿った環境であり、唾液や歯周ポケットからの滲出液には栄養分がたっぷり含まれているからです。細菌にとっては最適です。

では、1000種類以上もの口腔内細菌はいったいどこに暮らしているのでしょうか。

 

200人以上の健常成人を対象としたSegataらの研究では、

  • 口腔粘膜(頬粘膜、歯肉、硬口蓋)
  • 唾液と舌(唾液、舌、扁桃、咽頭後壁)
  • 歯面(歯肉縁下、歯肉縁上)

の主に3カ所で、バイオフィルム(膜状に築かれた細菌の共同体)が形成されているようです。

 

そんな口腔内のマイクロバイオームですが、ほとんどが特に悪さをするでもなく、バイオフィルムという名のテリトリーを築きながら暮らしています。

血圧や血管機能の改善を担っている細菌もいたりします。

 

また外部やってくる細菌を排除する役割も勿論そなえています。

では、なぜ虫歯や歯周病菌を追い払ってくれないのでしょうか?

 

虫歯菌や歯周病菌はよそ者?

虫歯菌や歯周病菌がいつ頃感染するかご存じですか?

虫歯菌は、乳歯(子供の歯)が生えそろう時期が最も感染・定着するリスクが高いです。口腔内の常在細菌叢も確立しておらず、臼歯などの磨きにくい歯も生えてくると、一層感染リスクが上がります。研究では、生後1歳半~2歳半ごろが最も虫歯菌に感染しやすいタイミングです。2歳半では、約75%が感染するそうです。

 

さらに歯周病菌は、10代後半から20代で大部分の人が感染します。実際、「歯周炎」として発症するのは中高年が多いのですが、細菌が定着するのはもっと若い時期なんですね。

 

もちろん感染しないに越したことはありません。

ただし、通常の人間関係を築きながら生活していくうえで、これら細菌を完全にシャットアウトするのは不可能に近いです。「子供にむやみに口移しでご飯を食べさせない」くらいなら、ほとんどのお母さんが守っているとは思いますが、そうでなくても同じお皿、食器を使うぐらいあるでしょう。顔を近づけるだけでも感染リスクは当然あります。

ましてや思春期にもなれば、チューの一つでもしたいでしょう?笑

女子会では、一つのお鍋でチーズフォンデュしたくなるでしょう?笑

 

要は、虫歯菌も歯周病菌も感染しないように生活するのは、不可能に近いのです。

よって、20代にもなれば常在細菌の一つとして共生関係を築くこととなります。

 

近親者ほどマイクロバイオームも類似する

したがって、近しい存在のヒト同士、細菌叢は似通ってきます。

それは、口腔内だけでなく、腸内や皮膚でもそうだと考えられます。

他人より友人、友人より恋人、恋人より家族のほうが細菌叢は近いでしょう。

 

「キスとカップル間での唾液マイクロバイオームの類似性について」という研究があります。カップル同士の舌表面の細菌叢は、他人のものよりも類似しているそうです。

さらに、キスの頻度が多いカップルほど、キスしてからの時間が短いほど、カップル間の唾液マイクロバイオームが類似することが研究で分かっています。

 

ちなみにこれら、Kortらの研究(2014年)によると、10秒間のチューだけで約8000万個もの細菌が移動すると報告されています。なんとなく分かってはいますが、数字にされると衝撃ですよね。

 

つまり強引なキスはバイオテロです!

注意しましょう。笑

 

虫歯や歯周病の予防接種は必要か?

これ、一度は思ったことありませんか?

私も子供の頃虫歯が多く、考えたことがありました。

当然医科・歯科の研究者も世界で最も多いと言われるこの感染症に対して、ワクチンがあればと研究されている方がいるのは事実です。

ただし、先ほども説明した通り、虫歯菌や歯周病菌はどちらも常在細菌です。

ヒトと共生関係をおくる口腔マイクロバイオームの一種です。

適切なブラッシングや予防処置により、本来問題なく共生できる関係なのです。

それに対し、ワクチンで予防するというのは非効率(費用対効果が悪い)と考えられます。さらに、虫歯菌や歯周病菌も決して1種類だけが原因菌ではありません。特に歯周病菌は種類が多種多様です。その種類の数だけ、ワクチンを接種させるのは無理があります。

本来、予防接種とは、結核菌やジフテリア菌、肺炎球菌などヒトに常在していない細菌に対しては有効です。しかし、共生関係が当たり前となる細菌をターゲットにしたワクチンや特効薬ができたとしても、それを上回る量の虫歯菌などが口腔内に入ってきては意味がありません。

 

その結果、コストや効率の面を考慮し、いまだに虫歯や歯周病のワクチンは実現していませんし、開発されたとしても世界的にそのワクチンが展開されるには課題も多いのです。

 

最後に

最近の研究では、「健康な人」と「疾患を持つ人」では口腔内のマイクロバイオームに違いがあることが分かってきました。将来的には、口腔マイクロバイオーム検査(唾液をちょっと採取するだけ)でも全身疾患の早期発見が可能になる日が来るかもしれませんね。

 

口腔マイクロバイオームへの期待と可能性は無限大です!

 

口は体内への入り口です。「細菌が多くて汚い!」と思いがちですが、全身状態の写し鏡でもあります。口の中で細菌たちが平和に暮らしていることは、私たちヒトが健康であることの証です。そう考えると、口腔内細菌も可愛く感じてきませんか?

 

↓応援クリックお願いします。

にほんブログ村 健康ブログへ

 

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info

マイクロバイオームという概念

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

「マイクロバイオーム」という言葉知っていますか?

現在、医学・細菌学のTOPICです。

科学の進歩とともに、ヒトと常在細菌の共生関係が明らかになりました。

さらに今日では、「ヒトと常在細菌を合わせて1つの生命体とみなす」という考え方が徐々に主流になってきています。全てのヒトに共通するヒト固有の菌種と、ヒトの生活環境やライフスタイルによって異なる菌種が選択されます。したがって、1人1人の細菌叢は全く異なるため、指紋と同様の多様性が常在細菌叢にも表れています。

 

こういった考え方を背景に、ヒトと細菌の相互関係までをも包含する「マイクロバイオーム」という概念が生まれてきました。

 

今日は、優しめ細菌学講座です。

f:id:honey-dental:20200521220251j:plain

     「目次」

  1. バイオフィルムとは?
  2. マイクロフローラとは?
  3. マイクロバイオームとは?
  4. 健康とマイクロバイオームの関係
  5. ヒトと常在細菌は助け合っている
  6. マイクロバイオームの共生関係
  7. マイクロバイオームの異常が病気につながる
  8. マイクロバイオームを健康に保つには?
  9. 最後に

 

 バイオフィルムとは?

プラークコントロールってよく歯ブラシのCMでも聞きますよね?磨き残しが数日続くとその部分で細菌が増殖し、プラーク(歯垢)が形成されます。プラークとは、歯の表面に付着した堆積物のことであり、まさにバイオフィルムです。

バイオフィルムとは、水分が存在するあらゆる物質の表面に付着し、膜状に形成される細菌の共同体を指します。もっとも身近なのは、排水溝や浴室の「ぬめり」ではないでしょうか?あれもまさにバイオフィルムです。99%を細菌が占めています。そう聞くと汚っ!!ってなりますよね。

 

 マイクロフローラとは?

マイクロフローラとは、「常在細菌叢」という意味です。特定の環境に分布する細菌の全種類を指します。

口腔内を例にあげるなら、虫歯菌や歯周病原菌も口腔内に存在する常在細菌の一種です。しかし、マイクロフローラとは、口腔内に住むすべての細菌の種類、数、分布を指すと考えてください。これが、細菌叢という考え方です。

もちろん腸には腸特有のマイクロフローラ、皮膚にも皮膚特有のマイクロフローラが存在することになります。

 

ちなみに「叢」という漢字、私も学生の頃読めませんでした。

訓読みで「くさむら」「むらがる」、音読みで「ソウ」と読みます。

したがって「常在細菌叢」=「ジョウザイサイキンソウ」と読みます。

いかにも、ウジャウジャ細菌がひしめき合っているイメージが湧きませんか?

うまい表現だなと思います。

 

 マイクロバイオームとは?

上記のマイクロフローラが細菌そのものを示す総称であるのに対して、ある特定の部位に存在するすべての細菌がヒトと関りをもち、お互いに作用しあうという概念が「マイクロバイオーム」です。

 

 健康とマイクロバイオームの関係

ヒトの体内には、およそ100兆もの細菌が生息していると言われています。ヒトの細胞数が約60兆個であるため、それよりも多いわけです。体内に生息する多くの常在細菌は、食べ物の消化・吸収、栄養の合成や病気の予防などにも貢献しています。しかし、時には、その細菌たちによって病気となることもあります。

 

 ヒトと常在細菌は助け合っている

ヒトと細菌は一緒に生活することで、利益を享受しあっています。ヒトは常在細菌に体温・水分・栄養を与える快適な居住環境を与えています。そんなつもりはないのですが....笑

一方、常在細菌はヒトの身体を健常に保つための生理機能をコントロールしています。彼らもまた、そんなつもりはないでしょうが....笑

これをシンバイオシス(symbiosis: 共生バランス維持)と呼びます。

つまりお互いに平衡状態を保つことが、私たちの健康維持に欠かせないわけです。

 

 マイクロバイオームの共生関係

では、常在細菌たちは私たちにどんな利益をもたらしてくれているのでしょうか?

  • 外来微生物からの感染防止
  • 消化管の健康維持
  • 代謝機能のコントロール
  • 抗炎症作用
  • 免疫機能の支援
  • 抗酸化作用

などなど、重要な役割を果たすありがたい細菌が多く存在します。

 

 マイクロバイオームの異常が病気につながる

当然逆にマイクロバイオームのバランスが崩れて、ディスバイオシス(dysbiosis: 共生バランス崩壊)となれば、ヒトは病気の発症につながります。

大腸炎や大腸がんなど消化器系疾患が有名ですが、最近の研究では動脈硬化、肥満、糖尿病や各種アレルギーも腸内マイクロバイオームの異常が関係しているのではと報告されています。

 

 マイクロバイオームを健康に保つには?

当然我々は、この細菌たちと仲良く過ごすために、毎日の生活習慣に注意を払わないといけません。喫煙や過剰な飲酒は控えましょう。適度に運動・休憩・バランスのとれた食事、太陽を浴びるなども効果的です。

また最近、善玉菌を摂取することで、マイクロバイオームの健康維持をはかる方法が盛んに研究・製品化されています。一番身近なものは、ヨーグルトなどの乳製品摂取です。このような目的の食品を「プロバイオティクス(probiotics)」といい、徐々に製品化されている現状です。一方で、詐欺まがいの怪しげな製品も多数存在しているため、まだまだ市場としては確立されていない、雑多な様相を呈しています。

 

 最後に

さらに、「大腸炎や難治性下痢の患者の腸内に、健康な人の糞便を入れる方法で劇的に改善する」といった研究報告もなされています。想像すると少し気持ち悪いですが、欧米ではかなり普及している治療法です。腸内細菌叢を健康な人のそれに近づけようとしているのですね。

 

当然、今後の市場拡大と巨額のマネーの臭いがプンプンしています。藁にもすがる思いの患者さんはたくさんいます。大学・研究者・製薬会社・ベンチャー企業など多くの企業・団体が、むらがっていることは間違いなく、その中には怪しげな製品もたくさん出回っているわけですね。

とりわけ、マイクロバイオームをめぐる「常在人間叢」を呈しています。

ヒトも細菌と似たようなものですね。笑

 

まだまだ今後の研究報告が楽しみな世界です。

 

↓応援クリックお願いします。

にほんブログ村 健康ブログへ

 

 

↓ 続きです ↓

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info

 

DIESEL「JOGG JEANS」

今週のお題「自慢の一着」

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

新型コロナによる景気対策の一つとして、「特別定額給付金」がもらえるそうです。

総額10万円!!

Twitterに「#安倍総理10万円ください」ってトレンドにあった時は、さすがに笑いました。ストレートにもほどがありますよね。まあ欲しいですけど。笑

 

この金額を聞いて最初にみんなは何買おうと思いましたか?

こんな話題が、SNS上で盛り上がっているみたいです。

最初に思い浮かんだものは、「欲しいけど、今買わなくてもいいかな~」と普段から脳裏によぎっていたものではないでしょうか。

 

ちなみに私は、DIESELのデニムです。

f:id:honey-dental:20200520225741j:plain

デニムって少し硬い思いそんなイメージで、これからの季節嫌煙されがちですが、この「ジョグジーンズ」は本当に軽い柔らかい。

デニムとスウェットを足して2で割ったような履き心地!

数年前から、ジョグジーンズの存在を知ってから、普通のデニムがはけなくなりました。革命です。

↓コレ特におすすめ。クラッシュも少なくDIESELにしてはそこまでヤンチャじゃないのも社会人にはありがたい!

 

 ところで最近、「若者のデニム離れ」が深刻だそうです。

それにともない、デニム関係のアパレル業界も苦境に立たされていると聞きました。

  • 若者の服飾にかけるお金がない
  • デニムの価格競争が激化していること
  • ダサいと思う

など、少しひと昔前とはジーンズへの価値観も変わっているのでしょうか?

SMAP草彅くんが「ベストジーニスト賞をとっているとき」が日本のジーンズ界のピークだったのかと思うと少し寂しいです。

 

それとともに、意気揚々とデニムを履いてる自分の姿も大学の学生にダサいと思われているのか???と少し気になるところです。笑

 

ところで、10万円いつになったら私の地域もらえるんですかね~。

 

↓応援クリックお願いします。

にほんブログ村 健康ブログへ

 

www.honey-come.info

www.honey-come.info

www.honey-come.info