こんにちは
はにー(@honey_come0011)です。
ここ数回の「はにかむブログ」では、
歯みがきの後に口の中にフッ素をなるべく残す方法(イエテボリテクニック)
虫歯予防のために水道水にフッ化物添加する方法(水道水フロリデーション)
など、フッ素についての投稿を続けています。
フッ素が虫歯予防に有効というのは広く認知されています。
しかし、どのように予防しているのかを正しく理解している人は少ないです。
「再石灰化」という言葉と勘違いしている人もいます。
今日は、「どのようにしてフッ素がエナメル質を強化するのか?」を紹介していきましょう。
- エナメル質の構造
- 脱灰と再石灰化
- フッ素の影響
- 最後に
エナメル質の構造
エナメル質とは、歯冠部(歯の頭の部分)をカバーしている構造物です。
口を開けたときに歯の直接見えている部分は、ほぼエナメル質となります。
つまり、食べ物を毎日かみ砕いてる丈夫な構造体です。
当然、人体で最も硬い硬組織となります。
96%が無機質で占められており非常に高度が高い反面、強い衝撃や歯ぎしりなどの咬合力によって、ときに破折してしまうこともあります。
この無機質は主にリン酸カルシウム【Ca10(PO4)6(OH)2】で構成されています。
所々、結晶の不整な部分が存在し、そこからカルシウムイオン【Ca2+】やリン酸イオン【PO43-】が溶け出しやすくなっています。
脱灰と再石灰化
脱灰とは、プラークが放置されてpHが低下した(酸性に傾いた)際に、エナメル質から、カルシウムイオンやリン酸イオンが溶け出すことをいいます。
再石灰化とは、プラークが除去され口腔内のpHがもとに戻ると再び、エナメル質の中にカルシウムイオンやリン酸イオンが戻っていくことをいいます。
食事をするたびに、我々の口腔内は酸性に傾き脱灰が始まります。
そして飲食をやめて、30分以上するとpHは戻っていき再石灰化が再度スタートします。
この30分という時間は、唾液がたっぷり流れているほど時間も短くなります。
よって食後すぐのキシリトールガムが非常に有効と言われているのはこのためです。
さらに唾液の中には、酸性に近づいたpHを戻す作用や抗菌作用もあるなど、虫歯予防に重要なカギとなるのです。
我々の歯は毎日、「脱灰⇄再石灰化」を常に繰り返しているのです。
同様に骨や血管などすべての組織・細胞において似た現象は常時行われており、リモデリングと呼ばれています。
フッ素の影響
歯を強化する
さて、いよいよ「フッ素による歯の強化」についてです。
歯の再石灰化自体は、フッ素による強化とは実は異なります。
フッ素による強化の際、リン酸カルシウム【Ca10(PO4)6(OH)2】の水酸化物イオン【OH-】の代わりにフッ素イオン【F-】が入り込んでいきます。
化学式で表記すると、
Ca10 (PO4)6 (OH)2 + 2F- → Ca10 (PO4)6F2 + 2OH-
フッ素により強化された後の歯質を、フルオロアパタイト【Ca10(PO4)6F2】と呼びます。当初のエナメル質であるハイドロキシアパタイトと比較して、フルオロアパタイトは結晶構造が非常に密であり、水や酸に溶けにくい構造です。
これが、フッ素による虫歯予防と呼ばれる所以です。
以上より再石灰化の際に、フッ素が歯の周りにあるとより酸に強い歯質が再構築されるということです。歯質強化には、いかに長時間、歯の周りのフッ素の濃度を上げておくかがポイントとなるのです。
再石灰化の促進
口腔内のフッ素濃度が高いと、カルシウムイオンやリン酸イオンが歯に戻りやすくなります。つまり、再石灰化を促進すると言われています。
虫歯菌の活動を抑える
虫歯は虫歯菌の出した酸によって歯を溶かしていきます。
フッ素濃度が高いと、虫歯菌の活動が抑制されることで酸の量が減少し、歯が溶かされにくくなります。
最後に
「今、歯質が強くなってるんだな~」と思いながらフッ素入り歯磨き粉で歯ブラシすると、案外モチベーションあがりますよ!!
以上今日は、化学のお勉強でした。
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