こんにちは
はにー(@honey_come0011)です。
「PCR検査数をもっと増やせ!」
「そんなに検査しても陽性数だけ無駄に増えても医療崩壊を招くだけ!」
「じゃあ、市販のキットでいいからやらせてくれ!」
「自分が陽性と分かった人間はパニックを起こすだけ!」
毎日こんな議論や問答が繰り広げられるTVやSNSにそろそろうんざりです。
現在、鼻咽頭から抗体採取できるのは医師だけです。
近いうちに歯科医師も抗体採取できるよう厚生省と歯科医師会が動いています。
しかし、PCR検査数が伸び悩む理由の一つに、やはりドクターしか実施できないという点があるでしょう。多くの患者が指定の病院に駆け込むほど、医療従事者への感染リスクも増大します。
もし患者自身で、抗体採取できたらどれほどリスク軽減につながるでしょうか。
さらに、医師は感染者(特に重傷者)への治療に専念できます。
でも一般人が、鼻の奥にながーい綿棒を的確に突っ込むなんて困難極まりないです。
顎顔面の解剖学的知識が求められる作業だからです。
こんな葛藤を解消するかもしれない、ある研究発表が投稿されました。
唾液を用いたPCR検査の有効性
アメリカの名門大学であるイェール大学からの研究報告です。
- Wyllie et al., Saliva is more sensitive for SARS-CoV-2 detection in COVID-19 patients than nasopharyngeal swabs. medRxiv
【タイトル】「唾液は鼻咽頭拭い液よりも高感度でCOVID-19患者のSARS-CoV-2を検出できる」
【内容】新型コロナウイルスのPCR検査の検体として、通常行われている鼻咽頭(鼻の奥を綿棒で拭き取って採取)と唾液(唾液をペッと吐き出すだけ)を比較した。44名の感染者、合計121検体について解析した。陽性サンプル(唾液39検体、鼻咽頭43検体)で比較すると、唾液の方がウイルス量が約5倍多かった。
29名では自己採取した唾液と、医療従事者が採取した鼻咽頭サンプルの同時比較が可能であった(38検体)が、やはり唾液検体の方がウイルス量が多かった。また唾液が陽性で鼻咽頭サンプルが陰性であったのは8例、唾液が陰性で鼻咽頭サンプルが陽性であったの3例であった。以上の結果から、唾液はPCR検査の検体として信頼できると考えられた。
【コメント】
基本的に唾液腺から出てきたばかりの唾液は無菌状態です。
たとえそれがウイルスであってもです。
従来の鼻咽頭ぬぐい液と比較して、なぜ口腔内唾液の方が高濃度で新型コロナウイルスが検出されるのか少し疑問は残ります。
- 単純に、唾液の採取できる量が多いからなのか?
- 医師それぞれの鼻咽頭ぬぐい取りの手技に対する確実性の問題もあるのでしょうか?
- 新型コロナウイルス特有の性質によるものかなのか?
本論文では、そこまでの考察はまだされていない様子。
PCR検査拡大が叫ばれている中、日本でも同様の追加検証を行うべきではないでしょうか。何より、抗体採取する医師のコストとリスクが削減できます。万が一、歯科医師の抗体採取が可能になった際、特別な追加訓練を受けなくても実施可能となります。
極端な話、患者自身が一人で家でも採取し、郵送することも可能です。
(なかなかそこまでは法整備や検査規模の拡充が難しいでしょうが....)
この報告はまだ査読前の発表であるため鵜吞みするのは危険です。
しかし追加で各国、各研究所の研究が進んでいると考えられます。
抗体採取キットとその後の検査ルートさえ構築してしまえば、巨額のお金が動くことが目に見えているからです。
冷静で批判的な、追加検証が望まれます。
そこに日本は遅れずしっかり食らいついていく必要があります。
これに先駆けてイタリア(Azziらの報告)と香港(Kai-Wang Toらの報告)でも唾液からの抗体採取の有効性を唱えた研究がすでに、報告されています。
- Azzi et al., SALIVA IS A RELIABLE TOOL TO DETECT SARS-CoV-2. Journal of Infection 4月14日オンライン版
- Kai-Wang To et at., Consistent Detection of 2019 Novel Coronavirus in Saliva. Clin Infect Dis. 2月20日オンライン
唾液採取の有効性は、あながちデタラメでもなさそうです。
私たち歯科医師も口腔・唾液と密接な関りをもつ職種なだけに、今後も注意深く見守っていこうと思います。
と、同時にもう一つの疑念が....
そんなウイルスをしっかり含んだ唾液ならば....
「僕たち歯科医師は毎日どんだけ唾液あびちゃってるの問題」です。
ゾッとします 笑
もちろんそれも覚悟してこの職種に身を置いているわけですが、ご高齢の先生なら休業・引退したくなるのも理解できます。
そんなこと言っててもしょうがないので、
いっそう気を引き締めて、明日から頑張りましょう!!
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