はにかむブログ

歯医者がみんなの疑問にふんわり答えたり、写真撮ったり、雑記したりのブログ

若手の歯医者に人気の歯ブラシは??

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

今日は歯科医療従事者である、衛生士さんや歯科医師がよく好んで使う歯ブラシを紹介します。市販されている歯ブラシは100種以上あり、すべて使用したわけではありません。しかし、使用感もよく清掃性も十分な歯ブラシを紹介しようと思います。

今回はかなり私の周囲に限局した、独断と偏見のブログです 笑

 

ちなみに、年齢を重ねるごとに歯ブラシのこだわりはなくなっていくような気がします。私の職場でもそんなかんじです。笑

しかし、若手の歯医者や衛生士さんは、結構こだわりの歯ブラシがそれぞれあるそうで....その中でも特に人気の歯ブラシをいくつか紹介します。

 

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     目次

・歯ブラシ選びのポイント

・人気の歯ブラシ

・私が使用しているのは?

・最後に

 

歯ブラシ選びのポイント

歯ブラシの毛先の硬さは、「かため」「ふつう」「やわらかめ」の3種類が多いです。製品によって多少の違いはあるものの、なるべく「ふつう」を選びましょう。

「ふつう」の歯ブラシでなるべくやさしく、細かく、1本ずつ磨くのが原則です!

知覚過敏でよくしみる、または歯肉炎で歯茎が炎症している人は、「やわらかめ」を使用しましょう。「かため」は、歯茎を気づつけたり、歯を過剰に研磨してしまい知覚過敏につながることもあるのでおすすめしません。

実際、予防歯科先進国のスウェーデン、フィンランドでは、「かため」の歯ブラシはほとんど売られていませんでした。

 

歯ブラシのヘッドの大きさは、「自分の上の前歯2本分が目安」と言われています。通常2cm前後でしょうか。一気に磨きたいからと、大きな歯ブラシを選びたがる人が一定数いるのですが、そんなヘッドの長い歯ブラシでは、磨き残しが増えるばかりです。子供用を使えとは言いませんが、なるべく小ぶりのものを使用しましょう。特に、歯並びに問題のある人、歯列弓(歯並びのアーチ)が小さい人、口が大きく開かない人は、なおさらヘッドの小ぶりなものを使用しましょう。

 

歯ブラシの毛先の並びは、どうでしょうか。製品ごとに多少の違いはありますが、大きく二つに分けると、「フラット」「山形」が存在します。

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⇧一般的なフラットタイプです。毛が倒れにくく、広い面を一度に磨くことができます。ただし、歯と歯の間(歯間部)などの狭い部分に届きにくいため、歯間ブラシやフロス、タフトブラシを併用しましょう。

 

 

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⇧これが山形の歯ブラシです。最近は、市販の山形歯ブラシも増えてきました。歯並びに前後している部分がある人、また歯と歯の間が大きく隙間が空いている人にも、この山形ヘッドがおすすめです。山の部分が、隙間に入り込んでくれるからです。隙間に食い込んでくれる分、1本ずつ磨こうという意識が上がりやすいです。

 

歯ブラシの毛先の形状にも違いがあります。いわゆる「ラウンド毛」と「極細毛」の違いです。

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⇧左が「ラウンド毛」、右が「極細毛(テーパード毛)」

 

一般的なのが「ラウンド毛」です。1本1本の毛先が丸くカットされているタイプです。歯茎を傷つけにくいものの、「極細毛(毛先が尖っているタイプ)」と比べると、歯と歯茎のすき間には入りにくいといえます。

それに対して「極細毛(テーパード毛)」は、毛先が先端に向かって補足なっているタイプです。歯と歯茎の間のすき間に入り込みやすいので、プラークをかき出すのに適しています。歯ブラシの硬さによっては歯茎を刺激してしまったり、歯肉退縮につながるため、やわらかめを選ぶほうがよいといえます。

 

簡単にまとめると........

「ラウンド毛」は歯面からプラーク除去する効率が良いタイプ。

「極細毛(テーパード毛)」は歯周ポケットの中を清掃できる、歯周病予防に重きを置いた歯ブラシです。

 

ブラシの材質は、ナイロン・PTB毛が衛生的です。というか市販の歯ブラシの99%がこれなので心配ないでしょう。一方で、価格は高いですが天然毛の歯ブラシとして「豚毛」や「馬毛」が存在します。適度な弾力としなやかさで、使用感がいいという意見もあるそうですが、私はさっぱり理解できません。なにより、乾燥しにくく、雑菌も残りやすいため衛生的に劣ります。よっぽどのこだわりがない限り、ナイロン・PTB毛でいいかと思います。

 

柄(ハンドル)の形状は、奥歯への届きやすさに違いがあります。

「ストレートネック」と「カーブネック」の2種類が存在します。

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左が「ストレートネック」、右が「カーブネック」です。

カーブネックの方が奥歯に届きやすいという特徴がありますが、通常はストレートでも十分です。

 

若手歯科医に人気の歯ブラシ

まずはやっぱり「GCのルシェロシリーズ」です。

⇩Bタイプが通常の虫歯予防向けです。

 

⇩Pタイプは歯周ポケットにも入り込む極細毛です。

 

もうひとつ人気なのが、予防歯科先進国のスウェーデンからやってきた、「TePeの歯ブラシ」です。先端がやや細身になっているため、奥まで届きやすいです。しかもハンドルが持ちやすい。カラーリングも豊富で、若い女性スタッフさんもまとめ買いしている人がチラホラいます。

 

私が使用しているのは?

私も、最近は「ルシェロシリーズ」の歯ブラシが最近のマイブームです。毛の硬さもヘッドの大きさも種類が豊富です。じっくり選んで自分好みの歯ブラシを探してみましょう。

 

最後に

 ここまでいろいろ話してきましたが、正直「プラークがしっかり取り除ければどんな歯ブラシでもよい!」というのが私の考えです。歯ブラシ選びに悩みすぎず、鏡で歯を見ながら、歯の付け根、歯と歯の間を丁寧に磨く時間を作ってあげましょう。

 

歯は一生ものの財産です!

 

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背筋も凍る怖ーい歯科トーク

今週のお題「怖い話」

 

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

連日の猛暑で夏バテになりそうな今日この頃。

それよりも、外の熱風と電車の冷房の寒暖差で身体がおかしくなりそうです。笑

 

病院もこんな時に節電なのか知らないが、冷房設定上げてる様子。

コロナどころじゃないです。

患者の歯治してる場合じゃないです。

その前に、院内熱中症で倒れそうです。

 

しばらく、猛暑は続きそうです。。。

 

背筋も凍る怖い話。。。

というほどではないですが、歯科のあるある事故の一つに器具の破折があります。

歯を削るドリルのことを、「エアタービン」と呼びます。歯医者さんでよく聞こえてくる「チュイーーーン!」という嫌な音を出すのがエアタービンです。この器具に歯を削るためのドリルを接続して高速回転させます。

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人によっては、これを見るだけで背筋が凍る思いの方もいるでしょう。

ちょっとした「歯科恐怖症」ですね。

 

我々、歯医者は毎分40万回転ほどに達するこの器具を、毎日当たり前のように患者さんの口の中で使用しています。この高速回転のおかげで力を入れずに、人体で最も硬いエナメル質を切削できるのです。

余談ですが、今から100年ほど前くらいの歯科医院では当然タービンなんてものはなく、はじめは「足踏みエンジン」で器具を回転させていたようです。昔のミシン器みたいな感じです。まともに削れなかったでしょうねー。

 

そんな歯を削るためのエアタービンですが、時に先に取り付けるバー(切削ドリルのチップ)が破折することがあります。

通常歯を削る時に使用するダイヤモンドバーはそれほど折れることは少ないですが....

歯を分割するための「ゼクリアバー」

金属の被せ物を除去する際に使用する「除去用バー」

などは、頻繁に破折します。

 

その度に、患者さんののど元に落ちていかないかとヒヤヒヤします。

器具を飲み込ませたなんて、発生したらそれはもう医療事故ですからね。

細心の注意を払ってはいるものの、毎日こんなヒヤリハットが生じているのが医療現場です。その度に、スタッフと一緒に背筋がヒヤッとさせています。

 

まぁ、ほとんどの場合、折れたバーは無事救出できます。

喉元に落ちても、普通なら患者さんがむせて、吐き出してくれます。

しかし、患者さんによっては稀にそのまま飲み込んでしまうこともあります。それでも通常は、糞便となって自然に排泄されることが多いのですが....

 

理想は、気管の方に誤嚥してないか、胸部レントゲン撮影にてすぐに確認するのが理想です。なかなかそこまで対応している医院も少ないのが現実ですが....

 

細かい繊細な仕事、感染や誤嚥などリスクと隣り合わせの仕事であるということを、忘れずにこれからの長い人生、無事故でいきたいものですね。

 

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力のリスクから歯を守るには?

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

前回、噛む力(=咬合力)がいかに歯の崩壊につながっていくのか、咬合力が虫歯や歯周病の進行に影響するかをお話ししました。

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今回は、そんは破壊的な咬合力、つまり「日中の食いしばり」や「夜間の歯ぎしり」からいかにして歯列を守るのか、についてお話していきます。

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    目次

・咬合性外傷の症状

・歯科医院での対応

・自分でできる予防法

・治療用マウスピース

・最後に

 

咬合性外傷の症状

歯ぎしりや食いしばり等の過剰な力によって、歯が一時的に炎症を起こすことを「咬合性外傷」と言います。歯の根元に強い力が加わり、捻挫していると考えていいでしょう。よって、安静にしておけば自然と治ることも多いです。

 

症状としては、歯の痛み、冷たいものがしみる、歯が揺れる、顎の関節の痛みなど個人差も大きいです。痛みに鈍感なタイプの人なら、知らず知らずのうちに歯が削れてしまう(咬耗)が生じることも多いです。

 

「安静にして」というのは簡単ですが、生きていくうえで1日3食摂る必要がある我々は、歯を1日休めることは容易ではありません。

 

また「歯が痛い」と一言でいっても、虫歯による痛み、知覚過敏による痛みなど様々です。まずは、歯医者さんに相談しましょう!

 

歯科医院での対応

さて、歯の痛みが虫歯/歯周病などでなく、過剰な咬合力によるものと分かったら歯医者さんはどんな治療をするでしょうか。

 

➀まずは経過観察です。つまり「何もせずにしばらく様子をみましょう」ということです。少し意外に思われるかもしれませんが、咬合性外傷による疼痛は一時的なことが多いです。1~2週間もしたら軽快することも多く、いきなり削ったりするのは時期尚早と考えられることも多いです。何もせず治っていくなら、そんなに楽なことはないですよね?ただし患者さんによっては、せっかく来たのに何もしてもらえないの??と不機嫌になる方もいます。「いつもすぐに歯を削る歯科医がいいドクターとは限らない」ということを覚えておきましょう。

 

②さて、それでも痛みが変わらない、生活に支障が出るレベルで痛い、物が噛めないほど痛いとなれば、次の手を打つ必要があります。

それが「咬合調整」です。

要するに、強く当たっているであろう歯の頭を削ります。それによって、痛みの出ている歯への負担を減らしてあげることができます。これで多く、削る量もわずかで済むことも多いため、有効な治療法です。

 

デメリットとしては、歯を削った分、他の歯に強く負担がいく可能性があることです。その際は、隣の歯にまた外傷がでることも多く、歯ぎしり・食いしばりなどの根本的な原因除去を行う必要があります。

 

③歯並びの悪さによって正常なかみ合わせが確立できていないことも多いです。本来は、カチッと噛めば全28本すべてに満遍なく接触しているのが理想です。(実際そんな理想形はなかなか存在しないのですが....)

しかし、奥歯のみで噛んでおり、前歯では物を噛み切れないタイプの人、歯並びがガタガタで噛み合わせに参加できている本数が少ない人は、より少ない本数で噛まないといけません。その分、咬合性外傷の症状が出やすいとも考えられます。

 

こうなってくると、根本的な治療法はみなさんご存じ「矯正治療」になります。

10~30代が限界ではないでしょうか。ある程度の年齢を超えて矯正治療に踏み切れる方は少ないと思います。費用的な面でもハードルが少し高めです。

 

自分でできる予防法

では、最も簡単な咬合性外傷の改善・予防方法は何でしょうか?

それは、「行動変容療法」です。

つまり、仕事や運動時など無意識に噛みしめている時間帯が、患者さんには多く存在します。起きている間は、噛みしめにブレーキをかけることができるはずです。よって、「普段から上下の歯をくっつけないよう意識して生活する」ということです。

酷い場合は、スマホの待ち受け画面に「噛まない!!」と表示させたり、テレビやパソコン画面に付箋で「歯をくっつけない!!」と貼り付けたりして視覚的にも警告させます。

毎日の意識から、習慣を変容させて噛み合わせによる外傷を防ぐことができます。まじめで素直な患者さんほど効果が出やすいです。

 

治療用マウスピース

行動変容療法ができるのは、当然起きている間だけです。

就寝中は、一切ブレーキをかけることもできる「ガリガリ」「ギシギシ」と歯ぎしりをしがちです。家族やパートナーに指摘されたことも多いのではないでしょうか?

そこで用いるのが「治療用マウスピース」「治療用スプリント」「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースです。

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おおよそこんな形態で、上あごの歯にはめて使用することが多いです。

寝ている間のみ使用し、装着しているあいだは、絶対に歯と歯は接触しません。

万が一、歯ぎしりのような運動をしても歯が削れることはなく、マウスピースのプラスチックが削れてくれるため、歯を守ることができます。

また、前後左右なるべくすべての歯に均等に負担がかかるように設計できるため、一本の歯に過度な力が加わることを防ぐことができます。

 

私も咬合性外傷で苦しんでいる患者さんにはよく作製します。

一度歯の型取りしたら、次回の来院時にはもうお渡しできるのもメリットです。

保険も適応しており、2000~5000円ほどで作製できます。

もちろん、マウスピース作製をしていない医院もあるため、まずは担当医と相談しましょう。

柔らかい(ソフトタイプ)のマウスピースを作製される先生も中にはいます。あまり、私自身はソフトタイプマウスピースには反対なのですが、このへんは先生によって意見が分かれるところではあります。

 

1つ気を付けてもらいたいのは、市販で販売されているマウスピースを絶対使用しないことです。市販のものは一見手軽に型取りが自分でできて、自分の歯並びにあった装置ができそうな気がします。しかし、やはり歯科医師・衛生士が型取りして技工士さんが製作した、装置には大きく劣ります。下手に適合の悪い装置を装着して、思いもよらない負担が歯に加わることも考えられます。そういったクレームや返品騒動もよく耳にします。

 

必ず、専門の歯科医院に相談しましょう。

歯医者さんはそんなに敷居の高い場所ではありません。

 

最後に

「虫歯のリスク」、「歯周病のリスク」とは別に「力のリスク」が存在すると私は考えています。咬合力を無視して治療は絶対あり得ません。こういったところまで配慮しながら治療できる歯科医師がさらに増えることが、日本の歯科レベルの向上につながると思います。

 

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歯医者の最大の敵は“噛む力”

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

今回は、“咬合力”=“噛む力”の話です。

一般的な歯科医の主な、治療対象は「う蝕(虫歯)」と「歯周病」です。

もちろん、顎関節症、口内炎、舌痛症、歯列不正、口腔癌などその他の疾患も診査診断しますが、専門の先生に依頼することが多いです。

 

しかし、どんな歯科医も絶対直面する最大の敵、それが“咬合力”です。

 

なぜ“咬合力”が最大の敵なのか?

我々歯科医師が治療の際、何を考えているのか?何に気をつかっているのか?今日はそんな歯科医の憂鬱をお話しします。

 

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     目次

・虫歯と咬合力

・歯周病と咬合力

・「咬合性外傷」とは?

・一番怖いのは「歯ぎしり」

・咬合力の強い人の特徴

・力のリスクから歯を守るために何ができる?

 

虫歯と咬合力

当然、毎日食事しないと我々人間は生きていけません。

毎日何百回と繰り返される咀嚼は、少しずつですがエナメル質に亀裂を生じさせます。目に見えないような亀裂を“マイクロクラック”と呼んだりします。この亀裂から、虫歯菌が入り込み、外から見えない虫歯が、歯の内部で広がっていることも多いのです。

 

大人の虫歯が歯と歯の間(隣接面)に比較的多いのも、隣り合う歯と歯の間に日々が入りやすいからともいわれています。ちなみに子供の虫歯が歯の噛み合わせの面(咬合面)に多いのは、ブラッシングの習慣が定着していない証拠、とも言われます。

 

そんな僅かな亀裂の中まで歯ブラシで清掃できるわけがありません。少しずつ気づかない間に虫歯になっていることが多いのです。

 

歯周病と咬合力

歯周病は「歯槽膿漏(シソウノウロウ)」とも呼ばれ、歯周病菌によって歯肉や歯を支える歯槽骨が吸収されていく感染症です。世界で最も多くの人が感染している疾患として、ギネス記録に掲載されています。

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咬合力が過剰な人ほど、毎日強い力が歯に加わります。その力が歯周病の進行を加速させるというのは歯科界では常識です。硬いものを噛むのが好き、仕事や運動時に食いしばる傾向がある人は、要注意です。

しかし特に強い咬合力が発揮されるのが、就寝中です。

起きているときの約7倍ほどの力で歯ぎしり・食いしばりを行っていると言われており、ギシギシ歯ぎしりしている人、起床時に顎関節の痛みや肩こりがよく出る人は要注意です。 

 

ブラキシズムとは?

こういった、歯に加わる過剰な力を“ブラキシズム”と呼びます。

ブラキシズムは、大きく「グラインディング」「クレンチング」「タッピング」の3つの動作形態として分類されます。

グラインディング」・・・上下の歯を横にギシギシとすり合わせる動作(臼磨運動)。一般的な音のなる歯ぎしりは、このグラインディング運動を指し、歯質の崩壊を生じやすいのが特徴です。

 

クレンチング」・・・上下の歯を静かに、しかし強く噛み合わせる動作。起床時に無意識にしていることも多く、また他人に気づいてもらうこともできないため、発見が遅れがちです。

 

タッピング」・・・上下の歯を動的にカチカチ噛み合わせる動作を指します。

 

夜間のブラキシズムの頻度は10~20%ほどともいわれていますが、その日の体調、ストレス、眠りの深さによってもまちまちで、はっきりとした統計データはいまだありません。

 

私、個人の意見ですが、「ヒトも昔は動物だった」わけです。潜在意識では、動物の本能もあるわけですし、就寝中にそのころの本能で強い咬合力を発揮していても全然違和感はないと思います。なので、ブラキシズムが全くない人なんていないと思います。

ちなみに、力の影響で歯に悪影響を及ぼしているタイプの患者さんを、一部の歯科医師たちは「ブラキサー」と呼んでいます。つまり、咬合力が普通の人より強いから要注意!と歯科医師は考えるわけです。

 

「咬合性外傷」とは?

「噛んだら歯が痛い」と訴えてこられた患者さん。レントゲンやその他の検査をしても虫歯や歯周病は特に問題がない。こんな患者さんもたくさんいます。多くの場合は、過剰な力によって一時的に歯の根元が炎症を起こしていることが多いです。これを「咬合性外傷」と呼びます。わかりやすくいうと、歯の捻挫って感じでしょうか。

なのでしばらく安静にしておけば、治ることも多いです。

もちろん、歯ぎしりなどの力のリスクを放置しておくと、何度も繰り返したり、他の部位が傷んできたりと、繰り返すことも多いのです。

 

全ての歯が均等に噛みあっていれば、こういった咬合性外傷は、起こりにくいのですがなかには歯並びの悪い人(歯列不正)、仕事や運動時に無意識に噛み癖がある人などはよく起こります。

 

歯医者さんによっては、痛みのある歯を少し削って噛んだときに当たらないようにする処置(咬合調整)をされる先生も多いです。しかし、虫歯でもない綺麗な歯をそのために削るのはやはりもったいないです。私なら、食事以外の普段の生活でなるべく「歯と歯をくっつけないよう」なるべく気をつけさせて、経過観察をすることも多く、大抵それで寛解することが多い印象です。

 

一番怖いのは「歯ぎしり」

日中の注意だけで治るのであればまだいいのですが、やはり夜間のブラキシズム、とくに歯ぎしりの場合、通常の7倍ほどの咬合力が発揮されてしまいます。起きているときは、「これ以上噛んだら、痛い・歯が割れそう」というブレーキがかかるのですが、就寝時はそのブレーキも働きません。よって、眠っている間は過剰な咬合力が加わりやすいのです。

もし、一緒に眠っている家族が横にいるのであれば、歯ぎしりしているか聞いてみましょう。歯ぎしりが酷いと言われたら早めに歯医者に診てもらいましょう。

 

咬合力の強い人の特徴

咬合力(=噛む力)が強い人の特徴はたくさんあります。とくに自分自身でも分かりやすいのが、歯の咬耗と骨隆起です。

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⇧歯の頭の部分が大きく削れているのが分かるでしょうか?スパッと切れたように削れています。これが「咬耗(コウモウ)」と呼ばれる状態で、歯ぎしりしている証拠です。ときには外傷として痛みが出たりもします。

 

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⇧こちらは、下顎の内側です。何かボコボコと膨らんでるのが分かりますか?腫瘍なんかではありません。これは「骨隆起」です。何年もかけて少しずつ骨が増殖してきたもので、必ず除去しなければいけないものではありません。咬合力が強い人に多く見られがちです。ときにこの骨隆起のせいで入れ歯が装着できない患者もいたりしますので、そういう場合は、外科的に骨切除します。

 

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⇧こちらも上あごの奥歯部分に骨隆起ができています。指で触ってみると結構の方がボコボコしていると思います。きっと奥歯で歯ぎしりしているのでしょう。よく見るとほとんどの歯に咬耗も認められます。典型的なブラキサーです。

 

他にも特徴はたくさんあります。そして私たち歯科医師は、顔の形(顔貌)をパッと見ただけで、噛む力が強いタイプかどうかがすぐに分かります。なので、そういった患者さんには、過剰な力がいかに虫歯や歯周病に悪影響を与えるか説明することも多いです。

 

力のリスクから歯を守るために何ができる?

最後に、力のリスクが強く頻繁に痛みを訴える患者さんには、以下のことを注意します。

日中はまず「噛まない!」を意識させる。食事の際は仕方ありませんが、それ以外は、上下の歯をくっつけないように意識改革させます。これを「行動変容療法」とよびます。よりリスクの高い人には、スマホの待ち受け画面に「噛まない!」と表示させたり、テレビやパソコン画面の横に「噛まない!」と書いた付箋を貼らせます。

ふざけているように感じるでしょうが最も簡単で、患者自身ができ、効果のある治療法です。

 

しかし寝ている間は、無意識で顎を動かしてしまします。特に眠りの浅い状態(レム睡眠)の時は、夢を見ていたり、眼球もぐるぐる動いています。同時に顎の運動も無意識化で起こしやすいです。あまりに夜間の歯ぎしりが強い患者さんには、ナイトガード(マウスピース/治療用スプリント)を作って、装着してもらいます。それによって、歯ぎしりを防止したり、特定の歯に過剰な負担が行くことを防止できるのです。

 

多くの歯科医院で作製しています。保険も適応できるため、歯ぎしりをよく指摘される方は、一度かかりつけの歯科医院に相談してみてもいいと思います。

 

歯科医師は、ただ虫歯と歯周病の治療だけをしているわけではありません。それを加速させる咬合力に最大限配慮しながら毎日診療しています1日3食、食事をする口腔内。多量の唾液や細菌にさらされ、そのうえ過剰な力が加わる歯。こんな劣悪な環境を守るのは実は一苦労なのです。

 

最後に

余談ですが、以前年齢の割に歯がぼろぼろに削れている男性患者さん(38歳)が来院されました。がっしりした体格で一見健康そうです。順番に虫歯の治療をしていました。ふと趣味の話になり、その患者さんはほぼ毎日ジムでウェイトリフティングをしていると聞かされました。「健康的ですね~私も見習わないと~笑」などと話しながら、心の中では「やめてくれぇぇぇぇ!!!!泣」と叫んでいました。間違いなくジムの最中、食いしばっているでしょうからね~。これは結構、歯医者さんあるあるだと思います。笑

 

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いろいろ難しい医院継承

今週のお題「お父さん」

 

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

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医師は「世襲」である。というイメージをみなさんはお持ちではないでしょうか?

実際に、医師を目指す学生の約30%は両親いづれかが医師であると言われています。

 

医学部は卒業後、その後内科・外科・産婦人科・小児科・眼科....など多岐の専門分野に分かれていきます。しかし歯科医は、大部分が「削って詰めて」の一般歯科医師(GP)にとして個人医院を開業する方がほとんどです。特に日本の場合は、その傾向が強いのです。

したがって、正確な統計調査はありませんが、歯科医師はそれ以上に世襲感が強いように感じます。

よって両親が歯科医院を開業している場合、2代目、3代目と引き継いでいく傾向が強いようです。

一般の職業であれば、ここまで両親と同じ職業になる割合は高くないと思います。

やはり、一つは専門職がゆえの世襲だと思います。

両親が実際働いているのを、子供の頃から見ているので、自分もその世界に入っていきやすいというのはあると思います。両親が子供に後を継いでほしいからと、医学部、歯学部へ進学するよう薦めることも多いでしょう。

 

いまでも地方では、街に一軒だけの医療機関!なんてところも少なくありません。

その場合は、2代目がいないと地域の医療サービスがストップしてしまいます。

地方の医院では、より一層「世襲感」が強くなることでしょう。

 

「世襲」というと、どうしても2代目は少し奔放になりがち?親に劣りがち?などと少しネガティブイメージが付きまといがちです。しかし、私の知る限り2代目だからといって、マイナス要素が出てくるといった実感は全くありません。

 

結局最後は、個人個人の努力と生涯学習への態度に尽きると思います。

 

現在、公務員など安定した職業が求められる中、手に職の仕事が注目されています。特に、新型コロナ感染症により、さらに国家資格などの専門職がいかに安定しているか、見直されているようです。

世襲ばかりの時代では、なくなりつつあるかもしれませんね。

 

余談ですが、父から子供への医院継承は、すごく難しいです。

父親医師には、何十年とやってきたやり方とプライドがあります。

しかし時代が違えば、治療法もどんどん変化していきます。

したがって若先生からすると親の診療は、それまで自分がやってきたこことは見当違いだったりします。

したがって、2代目医師と父親医師との間で頻繁に、いざこざが生じます。

毎日、口論しながら診療している医院も少なくないです。

挙句の果てに、その医院を継承することなく、別の地域で新規開業というケースが非常に多いです。

親子関係をなかば解消しているような、親子医師も少なくないです。

「これでは元も子もないなー」といつも思います。

親子えあり、同じ職場の上司部下という関係は、非常に難しいのです。

 

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歯科医療従事者の抗体陽性率は優位に低い!?

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

ソフトバンクグループがYouTubeチャンネルで興味深い報告をされていたので雑記しておきます。

ソフトバンク社が調達した抗体検査キットにより44000人あまりの検査結果について専門家の意見を交えながら速報しました。

 

抗体検査をめぐっては、厚労省が東京・大阪・宮城に3都道府県で無作為抽出した20歳以上男女1万人を対象に現在実施を検討しているそうだが、さすが大企業。市販キットの正確性や被験者情報の信頼性はともかく勢いが早い。このスピード感は、厚労省も見習ってほしいとおもう今日この頃。

 

さて肝心の速報値ですが........

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「データは基本的に自己申告によるもの」と断ったうえで、被験者44000人中191人が抗体検査陽性とのこと。

つまり、全体としての陽性率は、0.43%とのこと!

率直な感想は、「低っ!」と感じたのだがどうなのだろうか?

抗体ができにくい感染症の可能性もあるのか?

地域的には、以前に厚労省がまとめた分布と類似しているとのこと。

 

さらにこのデータ。

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ポイントは、歯科医師や歯科助手の陽性率が優位に低かったとのこと。これまでさんざん歯科医療従事者は、患者さんからの感染リスクが高いと言われ続けていたが故のギャップでした。

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全国の歯科医療現場で、徹底した感染対策を行っていたことが功を奏したのか?

なぜ受付や医師と比べて、歯科医師や歯科助手の陽性率が低かったのか、さらなる考察が必要かと思います。

まだ喜ぶには早い気もするが、こういったプラスの情報もしっかり発信して、患者さんもスタッフも不要な心配をせず、通院や治療に専念できる雰囲気になればと思うところです。

 

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ソファ難民

今週のお題「好きなお店」

 

こんにちは

はにー(@honey_come0011)です。

 

最近、部屋のソファを一新したいと思い、家具屋という家具屋をめぐっています。

大した予算もないくせに、ブランド店に足を運んでしまい後悔しています。

本当にいい物を見てしまうと、ニトリやイケアに戻れなくなる....

そんなジレンマに襲われています。

もうちょっとした「ソファ難民」です。笑

 

比較的値段の割にデザインもスタイリッシュなブランドが「アルモニア」です。

家具好きの方なら有名だそうで、SNSにこのソファをアップしている人も多いです。

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はじめいいなと思っていた「vento2」

スマートなデザイン。かっこいいとひとめぼれして、お店に行くと座面が低い!しかも硬い!家具って実際店に行って触らないと分からないこと多いのだなーと改めて実感しました。

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座ってみて次に惚れたのが、この「NUBE」。

お掃除ロボットも足元を通れるそう。笑

決して広くない部屋なので、こんな大きめのソファを置いていいものか。

でもリビングソファーでゴローンとしたいしなー。

 

ちなみにコスパいいと言いましたがどれも20万前後します。

感覚が麻痺ってる気がする。思うつぼなのか!?

 

はやく部屋の家具が決まればいいなと思いつつ、今週末もソファ難民として出掛ける予定。

これは不要不急??

いや必要なものだから仕方ない!

 

 

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