はにかむブログ

歯医者がみんなの疑問にふんわり答えたり、写真撮ったり、雑記したりのブログ

すぐに歯を抜くのは悪い歯医者??

こんにちは、ハニーです。

今回は、歯を抜くことは悪いことなのか?

すぐに歯を抜くドクターは悪い歯医者なのか?

どんな歯でもずっと口の中に置いておくメリットはあるのか?

一緒に考えていきたいと思います。

 

1.歯を抜くのは悪いことなのか?

まず、大前提として虫歯(う蝕)も歯周病も細菌感染による感染症です。

虫歯は、歯を酸で溶かして歯の中を通って、虫歯菌は体内に侵入してきます。

歯周病であれば、歯周ポケットから血管内に侵入して、体内へ菌が入り込んできます。

 

放っておくと、歯を失うだけでなく、体内に菌が侵入してくるという点がポイントです。いわゆる、菌血症や敗血症といった状態に進行する可能性もあるため、口の中の問題だけと舐めてかかってはいけません。

 

特にもともと全身疾患があったり、免疫力の低い高齢者ではこれは致命傷です。

したがって、虫歯で歯がほとんど残っていない状態であったり、歯周病でぐらぐらになった歯は残そうにもどうにもなりません。よって、すぐに抜いたほうが身体のためといえます。

 

2.すぐに歯を抜くドクターは悪い歯医者なのか?

上記を読んでもらえばわかる通り、保存できない歯は原則抜くべきです。

 

なので、初診で「虫歯を直してもらえるかなー?」っと思って歯医者に来た時にはすでに手遅れという場合は、当然いきなり「抜歯です」と説明されることもあります。

特に歯周病の場合は、静かに進行する疾患のため、「歯が揺れてきたなー?」と思って来院されたときには、重度の歯周病状態で「すぐ抜歯です!」と説明することはよくあります。(この時はもちろん患者さんの気持ちも配慮しながらやさし~く説明しますが 笑)

 

もちろん、なかにはここまで丁寧に説明しても「抜きたくない!ぜっっったい抜きたくない!!」と拒否する患者さんもいます。その場合は、「抜歯せず、腫れたり痛みが出たら抗生剤と痛み止めでごまかす」という方法をとる時もあります。ただし、これはただの対処療法で、根本的な解決にはなっていないということを、心しておいてください。その歯から、じわじわ細菌が身体に入ってきてるということでもあります。

 

3.どんな歯でも口の中に放置しておくメリットはあるのか?

あえて挙げるなら....

歯を失うと、顎の骨が薄くなってきます。上下のあごが短くなった、唇が薄くなったおじいちゃん・おばあちゃんを見たことがあると思いますが、そういった方は大抵顎の骨が吸収されていることが多いです。(歯を支える必要がないと顎骨が判断するんでしょうね、廃用萎縮といいます。)残り僅かな歯でも、顎骨内に残っているとこの萎縮が進みにくくなるという報告はあります。

 

しかし何度も言いますが、基本的には歯医者が保存できないと判断するような、虫歯の大きすぎる歯、歯周病が相当進行した歯、割れていしまった歯などは、細菌が体内に侵入する入口になるため、原則抜歯です。繰り返し、腫れてくることも多いですしね。

特に、寝たきりの高齢者なら抜けそうな歯を誤って飲み込んでしまうという事故も多発します。

 

もちろん、妊娠中、重度の高血圧、糖尿病、骨粗鬆症の薬(ビスホスホネート製剤、抗RANKL製剤)を服用中、抗凝固薬(アスピリンなど)を服用中の方は、やむを得ず抜歯を控えることも多々あります。

 

以上、全身疾患や服用中の薬、年齢、健康状態など様々な点を考慮して、抜歯を判断します。担当医とよく相談して、納得できれば抜くことをお勧めします。納得できなければ、もう一軒別の歯科医院へ相談に行く(セカンドオピニオン)もありだと思います。それぐらい、歯を失うというのは大きな問題なのですからね!

 

ではまたあした('◇')ゞ