口臭の悩みを抱える患者さんはたくさんいます。
どんな人でも、一度は、自分の口の中が匂うな?と感じることがあったと思います。
世界的にみても、日本人は臭いに敏感・繊細です。
世界一、デオドラント製品が充実している国ではないでしょうか?
私の関わる病院やクリニックでは、口臭外来を行っていることもあり、毎日多くの口臭に悩む患者さんが来院されます。
口臭の原因はたくさんあります。
その中から原因を特定していく作業は、一般の人には至難の業です。
今日は、口臭の原因にはどんなものがあるのか、まとめてみましょう。
- プラークコントロール不良
- 舌苔の蓄積
- 歯周病(歯槽膿漏)
- 膿栓(におい玉)
- 胃腸の乱れ(逆流性食道炎)
- 糖尿病や肝疾患
- 仮性口臭症
- 新性口臭症
プラークコントロール不良
まずは、歯磨き不足による口臭です。プラークは磨き残しとは異なります。磨き残しが1~2日も続くと細菌の代謝産物の塊(バイオフィルム)となります。つまり、プラークの99%は多種多様な細菌で占められています。当然その中には、異臭を放つ嫌気性菌も多数存在します。
したがって、プラークが多量に沈着している患者さんには、まずブラッシング指導と歯石とりのお掃除になります。自分では、きっちり磨いているつもりでも、僕ら歯科医が鏡で覗けば、歯間部や歯頚部のプラークはすぐわかります。これが1週間も放置されたら、確実に歯石となり自分では除去できなくなります。
こうなると、歯肉炎や歯周病へまっしぐらです。
まずは、自身でのプラークコントロールが第一です。
舌苔の蓄積
舌苔(ゼッタイ)とは、舌の上に蓄積した、新陳代謝産物や細菌の塊です。
舌がうっすら白くみえたら、舌苔が蓄積している可能性があります。
場合によっては、呼気にのって口臭となりでてくる可能性があります。
舌ブラシをしようするか、濡らしたタオルで軽く舌の上を拭ってあげるだけでも除去できます。
歯周病(歯槽膿漏)
どんな人にも歯と歯茎の間に歯周ポケットが存在します。40代から増加してくる歯周病は、この歯周ポケットが深くなり、そこに暮らしている歯周病原菌が原因で進行します。その時の体調や身体の免疫力によっては、歯周ポケットの中でその細菌が活発に動き出し、腫れたり膿を出したりします。これが口臭につながることが多いです。
歯がぐらぐら揺れて抜け落ちるのは末期です。
そこまでいかなくても口臭を発生することはよくあります。
異臭を発生しやすい、嫌気性菌(酸素が苦手な細菌)が原因菌だからです。
もちろんこの場合も、第一は患者さん自身のブラッシングになります。
ただし虫歯予防と違い、歯周ポケット内の清掃に重点を置く必要があります。
「歯周病は完治する病気ではない」ため定期的に歯医者さんで歯石とりや3ヶ月間隔の歯のメンテナンスを行ってもらうことが重要になります。
膿栓
舌の奥に扁桃腺が存在します。
そもそも扁桃腺は、免疫作用に完成する臓器ですが、時に感染症に罹患すると免疫反応で腫れることが良くあります。
体調不良やホルモンバランスの乱れなどで、この扁桃腺に小さな膿の袋が出現します。
これが、時に口臭となって出てくることがあります。
最近テレビでも口臭の原因(におい玉)として時々取り上げられる時があります。
しかし、これが口臭の原因として来院される患者さんは本当にわずかです。
歯ブラシで清掃するわけにもいかないため、まずは体調管理、生活の不摂生の改善、耳鼻咽頭科でチェックしてもらい、時には抗生剤の処方もあるでしょう。
胃腸の乱れ(逆流性食道炎)
胃の調子が悪くなるときは、精神的ストレスの負担があることが多いです。
ストレスが大きくなると、自律神経が乱れ唾液の分泌が減少するため、舌苔がよく認められます。
よって胃の調子が悪いときには口臭が強くなりがちです。
他に、ストレスやそれに伴う暴飲暴食により、消化不良で腸にガスがたまると、そのガスが呼気となって口臭として出ることもあります。
糖尿病や肝疾患
糖尿病もあまり重度になるとケトン臭という特異な臭いが口臭として現れることがあります。糖質制限のダイエット中の人や肝臓疾患の患者さんでも同様の臭気が認められることがあります。
40代以降は生活習慣病が一気に上昇します。
定期的な健康診断も、非常に重要です。
仮性口臭症
社会的に容認できる限度を超えるほどの口臭は認められないが、検査結果の説明を受けることで納得して、訴えの改善が期待できるものを指す。
必要以上の心配、不安、悩みを抱え込んでいくタイプに多いです。
丁寧な説明で安心してもらうことが、一番の解決方法です。
小学生くらいの子供を連れてきて、「私の娘の口が匂うんです」と訴えられるやや過保護傾向のお母さんが時々います。これも一種の仮性口臭症といえるのではないでしょうか?
口臭恐怖症
これまでの口臭原因が認められず、また仮性口臭症でもない人です。
検査結果を説明しても受け入れられず、訴えの改善が期待できないものを指します。
自分の口臭で周囲の人がいつも顔を背けいると一種の強迫観念を抱えている患者さんも時々います。
この場合は、もう歯科ではなく精神科や心療内科の分野になってきますので、カウンセリング等を精神科に依頼することもあります。
最後に
いかがでしたか?
最近は、口臭の不安をあおるようなCMや広告も多く無駄に不安を感じてしまう人もおおいです。孫に口が臭いと言われて、素直に歯医者に来るおじいちゃん・おばあちゃんも結構います。
口臭は、一度不安になるとなかなか改善しない悩みになりがちです。不安であれば、一度歯科医院にチェックしてもらうのはどうでしょうか。
なによりも定期的な歯科医院でもメンテナンスが重要ということは、今後も繰り返し主張していこうと思います!
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