こんにちは
はにー(@honey_come0011)です。
お茶を飲もうとしたら急に話しかけられて、「ゴホッ、ゴホッ!」っとむせてしまった。
こんな経験誰でもありますよね。
そこでみなさんに質問です。
これって、「誤飲(ゴイン)」ですか?「誤嚥(ゴエン)」ですか?
じつはコレ、誤って使用してる人が結構多いんです。
私たち歯科医療従事者でも、たまに勘違いして使用してる人がいたりします。
今日は、子供ちゃんと高齢者さんがいる家庭は特に要注意!
そんな誤飲と誤嚥について紹介します。
- 誤飲と誤嚥とは?
- 誤飲について
- 誤嚥について
- 歯科治療での注意点
- 最後に
誤飲と誤嚥とは?
①誤飲
異物を誤って飲み込むこと
⇨ 食べ物の通り道へ(食道の方へ)入ること
②誤嚥
異物や食物が誤って呼吸器に入り込むこと
⇨ 空気の通り道へ(気道の方へ)入ること
イントロで出題した、「お茶を飲んだらむせた」の問題は、「②誤嚥」が正解です。
誤飲と誤嚥では、原因となりやすいものや、入り込む場所が異なるのです。
喉から先の通り道と言えば、気管と食道の2つがあります。
手前に気管→気管支→肺へとつながる呼吸器系が存在します。
気管の入り口には発生に必要な声帯も存在します。
後ろ側に食道→胃→腸へとつながる消化器系が存在します。
誤飲について
飲食物が正しく食道に入っていけば、それは嚥下(エンゲ)と呼びます。
これが、あるべき「飲み込み」の姿です。
ただし、食べ物か異物か判断できない人は、なんでも口に入れてしまいます。
よって誤飲は、乳幼児と認知症の進行した高齢者に多いです。
硬貨やビー玉など消化できない物を誤飲した場合を「消化管異物」としての症状と
化学物質や薬品などを誤飲した場合の「急性中毒」に分類されます。
消化管異物の症状
これは異物の種類、性状、大きさによって異なります。
疼痛、嘔吐、出血、嚥下困難などが認められますが、多くは無症状で本人も気づいていないことが多いです。
特に咽頭付近でストップしやすいのが、お餅です!
実は窒息死亡者は1月に集中しており、日本国内だけで毎年1300人ほどが亡くなっています。嚥下力の弱っている、高齢者は特に注意が必要です。
高齢者自身は、自分の嚥下力が弱っているなんて、自覚していませんのでいつも通りの大きさで食べてしまいます。なるべく小さく切って、よく噛んでから飲み込むように声掛けするのが重要です。
子供で多いのが、こんにゃくゼリーです。
ゼリーによる窒息事故が多発し、社会問題になったこともありました。
子供に出すときは、十分に噛むよう注意するか、適度なサイズに切ってあげましょう。
食道では蠕道運動するので基本的には胃まで流れてくれます。
しかしまれに魚の骨や部分入れ歯などを誤飲し、食道でストップする時があります。
この時は、食道が穿孔する危険性もあるため、すぐに摘出する必要があります。
異物を誤飲したとしても食道まで入ってしまえば、胃まで流れてくれるため、症状がないことも多いです。
なので小さなおもちゃ、キャップ、電池、硬貨であっても、胃まで入ってしまえば排泄されるのを待つだけ(経過観察)のことが多いです。
消化管異物の対応
- 無理やり吐かせるのはなるべく避ける
- 「苦痛なく飲み込んだもの」は「苦痛なく排泄される」が原則
- 「食道異物」は粘膜穿孔の危険性もあるため、摘出術を行うことも多い
- 無症状であってもまず病院や救急ダイアルへ
麻酔して手術して摘出するなんてことはほとんどありません。
食道から下に進んでしまえば、呼吸も可能であるため、気づかれないことも多いのです。
腸に詰まる、腸が破れるなど異物による症状があれば、外科手術での摘出となるでしょう。
急性中毒の症状
子供の急性中毒の約70%は「家庭内のもの」が原因です。
その中でも、圧倒的に多いのが「タバコ」、さらに「医薬品」「化粧品」の誤飲です。
生後半年~1歳未満が最も多いです。
症状は誤飲した種類や量によって様々です。
タバコの誤飲(急性中毒)の場合は....
吐気、嘔吐、よだれ、顔面蒼白などが数時間以内に認められるが、症状が出ないことがほとんどです。
治療も、無症状であれば基本的には様子見(経過観察)です。
3cm以下の誤飲なら無処置、胃洗浄もなしです。
子供が口にしたものが分かっているなら、同じものをもって医療機関に相談しましょう。
他にも、親の常用薬、クレヨン、口紅、石けんなどが多いです。
特に、洗剤、漂白剤、殺虫剤、除草剤などは劇薬も含まれるため要注意!
子供の手の届かない(見えない)ところに置くこと
これが大原則です!
誤嚥について
次は、気管に物が入った場合の誤嚥(ゴエン)です。
子供の場合であれば、
1歳から3~4歳に多いです。
直径4cm以内であれば全て口に入れると覚悟すること!
豆類の食べ物が特に多いが、時におもちゃも原因になります。
窒息、咳嗽、呼吸困難が主な症状です。
詰まった位置でも、症状や発見のされやすさが多少異なります。
喉頭や声門付近の上部で詰まっている場合、発語不能やチアノーゼが生じるため、すぐに異常に気づくことができます。
しかし、細かな食片や異物が気管支まで入った場合は、咳き込むこともなく肺炎を発症することもあるため、発見が遅れることもあります。ここまで入り込んだ場合は、全身麻酔下での内視鏡摘出となります。
誤嚥の対応
窒息が疑われたらすぐに異物を除去する必要があります。
下を向かせて背中を叩く(背部叩打法)
患者の後ろに回り込み、こぶしを胃のあたりに当て、上に数回押し上げる(ハイムリック法)などがありますが、なかなか難しいです。
一度、市民講座や初期救命のセミナーなどあれば、予習しておくことをオススメします。
窒息以外の場合
つまり、食事中のムセや咳き込みが出た場合....
その後症状が無くなるなら、様子見で大丈夫です。
咳き込みが続くなら病院を受診させましょう。
おもちゃなどの誤嚥を疑う場合は、「同じもの」をもって受診すること。
「いつ?」「何をしていた時?」が重要です。
歯科治療での注意点
ココからはみなさんにではなく、「歯科医である自分に対しての自戒の念」を込めて書きます。歯科治療はザックリ言ってしまえば、口の中でちまちま処置する仕事です。その特性上、細かな器具や装置を口の中へ出し入れするため、誤飲させることが稀に発生します。
特に多いのが、詰め物・被せ物(補綴物)を装着するタイミングです。
口の中で補綴物の高さが合っているか何度も出し入れしながら調整するため咽頭に落下いてしまうことも多々あります。(唾液でヌルヌルになっているため余計に滑ります)
僕ら歯科医師も最大限注意しますが、1年に数回はのど元に落ちます。
ほとんどの人は、異物と感じて吐き出してくれます。
しかし時には反射的にゴックンしてしまう(誤飲させてしまう)こともあります。
まぎれもなく医療事故です。
しかし、歯科医師といえども人間ですのでやむを得ないこともあります。
多くの場合、すぐに患者に事情を説明、内科に紹介し胸部レントゲン撮影してもらい胃の中に入っていれば一安心です。普通は、数日以内に問題なく排泄されるからです。
最大限の誠意をみせ、経過観察させてもらいます。
万が一、気管側に補綴物が入っていた場合は、さらに対応がややこしくなりますが、今のところ聞いたことはありません。
幸いなことに私自身は、誤飲させてしまったことはまだないのですが、歯科治療時の医療事故でも特に多いものの一つです。治療に慣れてきた今だからこそ要注意なのかもしれません。
もう一つ驚いたのが、高齢者の誤飲の話です。
グラグラに揺れた歯は、誤飲のリスクが高いため抜いてしまうことが多いです。特に、嚥下力が低下している、後期高齢者の場合は、よりいっそう注意が必要です。さらに歯を1~2本だけ喪失している高齢者の部分入れ歯は非常に小さいです。十分にあっていないと(ばねの部分が緩んでいると)はずれて、飲み込んでしまう人がいます。私の訪問している高齢者さん一度食道で引っかかっていた方がいました。しかも認知症があったので本人は特に気にせず、食事を続けていたのことです。その後、たまたま吐き出したとのことですが....ゾッとします。
高齢者が小さな入れ歯を突然なくした場合は、誤飲の可能性も考慮するようにしています。介護しているご家族やヘルパーさんにも、伝えたいことの一つです。
最後に
大事なことなのでまとめます。
誤飲・誤嚥が疑われたら....
- 症状がなければ慌てない
- 病院や救急ダイアルに遠慮せず連絡する(誰にでも起こりうることだから)
- 「何を?」「いつ?」「どれくらい?」口に入れたか把握する
- 現物があれば持ってくる
- 子供・高齢者が家族にいるなら、初期救急セミナーや市民講座をうけておく
- なにより、子供の手の届くところに危険物を置かない
僕も1週間に1回くらいお茶でむせてます。笑
そんな誰でもやりがちなアクシデントのすぐ隣には、生命に関わるリスクが待ちうけていたりします。食事のような日常生活に中にも、そんなリスクが常にあるということを理解しながら生活できれば、より安心なのかなと私は思います。
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